点字のデジタル表現

あまり意識していないかもしれませんが、エレベータや自動販売機や券売機などのボタンなど多くの場所に点字が用いられています。
点字は6つの点のパターン(点が出っ張っているかいないか)で文字(主にひらがな)を表しており、出っ張っている点を1、出っ張っていない点を0とみなすと、点字は6桁の2進数で表現することができます。例えば下の「た」を表す点字は点を表す数字を左から順に並べることで「101010」という2進数(10進数で40)に置き換えることができます。
このことは、点字が文字のデジタルな表現であることを表しています。
点字の詳細についてはwikipediaの点字の項目などを参照して下さい。

以下、点字の6つの点に下図のような1から6での番号をつけて表現します。また、出っ張っている点を下図の1番の点のように黒く塗りつぶされた丸で、出っ張っていない点を2番の点のように黒い枠の丸で表現します。


点字は6つの点から構成されているので、26 = 64 通りの点のパターンを表現することができます。日本語のひらがなは約50文字ですので、ひらがな一つ一つを点のパターンに当てはめることができます。
この時、それぞれのひらがなと点字のパターンを適当に対応させてしまうとわかりにくく(覚えにくく)なってしまうため、点字では以下のような法則で規則正しくひらがなと点字のパターンを対応させませす。

基本の法則

ひらがなは50音表で表現することができ、一つ一つのひらがなは「あいうえお」の段と「あかさたなはまやらわ」の行の組み合わせで表現することができます。例えば、「ぬ」は「う段」の「な行」の文字であると言えます。
そこで、点字の6つの点を3つずつにわけ、1番、2番、4番の点を五十音の「段」に、3番、5番、6番の点を五十音の「行」に対応させることでひらがなを表現します。

3つの点で表現できるパターンは 23 = 8 通りなので、「あいうえお」の5つの段は3つの点のパターンで下図のように表現することができます(関係のない3番、5番、6番の点は薄く表示しています)。


一方、行は「あかさたなはまやらわ」の10通りがあるため、3つの点のパターンでは表現することはできません。そこで、「や」の行と「わ」の行を除いた8つの行について、3番と5番と6番の点を五十音の「行」に以下のように割り当てます。


この2つを組み合わせることで文字を表現します。たとえば「ぬ」は以下のように表現します。


残りの文字や記号

上記の法則で表現できる文字は 8 * 5 = 40 文字です。実際には使われていないパターンがまだ 64 - 24 = 20 パターン残っていますので、そのパターンを使って上記の法則で割り当てられなかった文字を割り当てます。
具体的にはや行の「やゆよ」、わ行の「わを」、撥音の「ん」、促音の「っ」、句読点の「、。」、長音の「ー」、中点の「・」があります。なお、これらの文字のパターンの割り当てについてもある程度の法則性はあります。例えばひらがなの「やゆよわをん」はいずれも「1番と2番の点が無く、3番の点がある」ようになっており、点字の左半分のパターンがそのようになっているかを調べることで「やゆよわをん」のいずれかのひらがなであることが分かるようになっています。
これらの文字の詳細についてはwikipediaの点字の項目に載っている表を参照して下さい。

濁音、半濁音、拗音

ひらがなは50音と良く称されるので50文字程度であると誤解されがちですが、実際には「がぎぐげご」などの濁音、「ぱぴぷぺぽ」などの半濁音などがあり、それらを合計するとひらがなの種類は64種類を超えてしまいます。
そのため、濁音や半濁音を含めてしまうと6つの点のパターンですべてのひらがなを表現することはできなくなってしまいます。そこで、濁音や半濁音は「(半)濁音を表す点字」+「ひらがな」のように2つの点字を使って表現します。
また、「きゃ」、「きゅ」、「きょ」などの「拗音」と呼ばれる文字も「拗音を表す点字」+「ひらがな」のように2つの点字を使って表現します。
以下に「が」、「ぱ」、「きゃ」、「ぎゃ」をどのように2文字の点字で表現するかを示します。


他にも「アラビア数字」、「アルファベット」なども同様の方法で2文字の点字で表現します。
詳細はwikipediaの点字の項目に載っている表を参照して下さい。

1文字の点字と文字の対応

下の点字の点の丸の部分をクリックするとその点が反転します。
右の五十音表の文字の上にマウスを移動するとその文字の点字が左に表示されます。
ここをクリックするとWikipediaの点字の表が別のタブ(又はウィンドウ)で開きます。


2文字の点字と文字の対応

右の文字の上にマウスを移動するとその文字の点字が左に表示されます。
注:こちらは点の丸の部分をクリックしても反転しません。
注:数字、アルファベットには対応していません。
ここをクリックするとWikipediaの点字の表が別のタブ(又はウィンドウ)で開きます。


様々な点字

上記は日本語のひらがなの点字の説明です。英語やその他の言語にも点字はあり、それぞれどの点のパターンをどの文字に割り当てるかが異なっています。このあたりは言語によって様々な文字コードが存在している点に似ています。
また、8つの点を使って漢字を表現できるようにしたものも存在します。


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