法政大学国際文化学部

情報リテラシーI,II

担当 重定 如彦

2009 7 14

26回 プレゼンテーション(その3)

1.      アニメーション

PowerPointでは画面にスライドを表示する際にアニメーションを使った表示を行うことができます。アニメーションの設定はアニメーションを行いたいスライドを表示し、アニメーションタブの「アニメーショングループ」で行います。

アニメーションを行う為にはスライドに何かを表示する必要があるのでまず「2つのコンテンツ」というレイアウトのスライドを新しく作成し、タイトルとテキストの部分に以下の内容を記入して下さい。グラフの部分はグラフの挿入ボタンをクリックし、棒グラフを選択して作成されるサンプルのグラフに対して手を加える必要はありません。

 

 

次に「アニメーション」グループの「アニメーションの設定」ボタンをクリッして下さい。ウィンドウの右の部分にアニメーションの設定を行う為のボタンなどが表示されます。

·           効果の追加ボタン

スライドにアニメーション効果を追加するためのボタンです。アニメーション効果を追加するには、まず効果を設定するオブジェクト(テキスト、表、グラフなどのスライド上に配置されたもののこと)をクリックして選択する必要があります。

次に、「効果の追加」ボタンをクリックして、メニューの中から効果を選択します。選択した効果を使ったアニメーション表示が、実際に真ん中のスライドで行われます。

また、追加された効果の名前が、真ん中の効果の一覧の部分に挿入されます。挿入した効果には番号がつけられ、番号の小さい順に効果が適用されます。また、左のスライドに表示される番号は、右の効果の一覧の効果の番号に対応しています。

·           削除ボタン

設定したアニメーション効果を削除するボタンです。効果の一覧に表示される効果をクリックして「削除」ボタンをクリックするとその効果が削除されます。

·           開始メニュー

設定した効果がいつ実行されるかを設定するメニューです。

Ø  クリック時:マウスでクリックするとその効果が実行されます。

Ø  直前の動作と同時:一つ前に設定した効果と同時にその効果を実行します。

Ø  直前の動作の後:一つ前に設定した効果の終了後にその効果を実行します。

·           効果の詳細設定

開始の下には、効果の詳細設定を行うメニューが表示されます。ここに表示される内容は効果の種類によって異なります。例えば「スライドイン」効果の場合、どの方向へどのくらいの速さで文字がスライドするかを設定することができます。

·           効果の一覧

真ん中の部分には設定した効果の一覧が表示されます。効果名の中にはいくつかの効果を一まとめにして表示する場合があります。例えば、左のテキストに「スライドイン」効果を設定した場合は、箇条書きの3つの項目それぞれに対して「スライドイン」効果が適用され1つにまとめて表示されます。この3つの項目の効果をそれぞれ一つずつ表示したい場合は、効果名の下の矢印下矢印ボタンをクリックして下さい。逆に上矢印ボタンをクリックするといくつかの効果をまとめることができます。

それぞれの効果はクリックして選択することができます。効果の順序を入れ替えたい場合は、入れ替えたい効果を選択して下の「順序の変更」ボタンをクリックします。

·           再生ボタン

そのスライドに設定した効果を最初から再生します。

 

 

·           スライドショーボタン

現在表示中のページをスライドショーモードで表示します。効果の設定の終了後はこのボタンを押して、思ったとおりの効果が実現できているかをチェックして下さい。

·           アニメーション効果の調整

設定した効果に対して後から調整を行うことが出来ます。調整を行うには効果の一覧から調整したい効果をクリックして選択して下さい。次に、効果の右の▼ボタンをクリックすると調整の為のメニューが表示されます。メニューの「効果のオプション」や「タイミング」をクリックすると詳細な設定を行うためのパネルが表示されます。

例えば「スライドイン」効果の場合、このパネルで文字を滑らかに移動したり、文字を一文字ずつアニメーションしたり、アニメーションの効果と共に音を鳴らすなどの設定を行うことも可能です。色々と細かい設定を行うことができるので、興味のある方は、各自いろいろと試してみると良いでしょう。

·           移動系のアニメーション

効果の追加で、「アニメーションの軌跡」を選択すると、選択したオブジェクトを自由に移動するアニメーションを行うことが出来ます。この中で、「軌跡を描く」を実行した場合は、メニューを選択後、具体的にどのような移動を行うかをマウスで選択する必要があります。移動の軌跡の設定を行うと、スライドに、どのような移動が行われるかの軌跡が赤と緑の矢印で表示されるようになります。この軌跡の直線や曲線は、Wordの図形と同様の方法で、ドラッグして自由に編集することができます。

·           時間配分の変更

効果の部分を右クリックして表示されるメニューで、「時間配分の表示」を選択すると、設定したアニメーション効果の右にアニメーションの時間配分を四角形で表示するようになります。この四角形をドラッグしてずらすとその効果が実行される時間を変更できます。具体的にどう変更されるかは下の「秒」の所を見て下さい。

·           テキストのアニメーション

箇条書きや段落に分かれているテキストをアニメーションさせる場合、通常は箇条書きの項目や段落毎に順番にアニメーション効果が適用されますが、まとめてアニメーションさせることが可能です。これを行うには、効果をダブルクリックして表示されるパネルの中の「テキストアニメーション」をクリックし、「グループテキスト」の右のメニューで「一度にすべての段落」を設定して下さい。

·           グラフのアニメーション

グラフをアニメーションさせる場合、通常はグラフ全体に対して効果が適用されますが、例えば系列毎のように、グラフの部分ごとにアニメーションを行うことが出来ます。これを行うには、効果をダブルクリックして表示されるパネルの中の「グラフアニメーション」をクリックし、「グループグラフ」の右のメニューの中から選択して下さい。

 

練習問題その1:先ほどのスライドに様々な効果をつけて、効果を確認して下さい。

練習問題その2:先ほどのスライドのそれぞれのオブジェクトに以下の効果を順番に設定し、スライドショーモードで表示させてください。

Ø  タイトル部分
効果:開始→スライドイン   開始:クリック時
方向:右から         速さ:速く

Ø  テキスト部分
効果:開始→チェッカーボード   開始:クリック時
方向:中心から          速さ:さらに速く

Ø  グラフ部分
効果:開始→ブラインド      開始:クリック時
方向:横             速さ:さらに速く
 以下は効果をダブルクリックして表示されるパネル
グラフアニメーション→グループグラフ:系列別

Ø  テキスト部分
効果:スピン        開始:クリック時
度合い:1回転、反時計回り 速さ:さらに速く
 以下は効果をダブルクリックして表示されるパネル
効果→強調→テキストの動作:文字単位で表示
テキストアニメーション→グループテキスト:一度にすべての段落

·           アニメーション設定時の注意点

アニメーションの最大の目的はその効果によってプレゼンテーションが単調にならないようにメリハリをつけたり、観衆の注目を集めることです。従ってアニメーションは注意して使わなければ却って逆効果になってしまいます

初心者にありがちなことですが、最初はアニメーション効果を設定するのが楽しくてついアニメーションを多用してしまいがちです。しかしあまりアニメーションを多用すると観衆に飽きられてしまったり、スライドの内容ではなくアニメーションの動きのほうに注目してしまうことになりかねません。例えばスライドのテキスト1文字1文字が画面の右からスライドして表示され、文字が表示されるたびに効果音が鳴るスライドは作成者にとっては楽しいかもしれませんが、観衆にとってはじれったくうるさいだけで反感を買うもとになってしまいます。アニメーションは濫用せずメリハリを付けたい場合や本当に注目を集めたい所だけで使うことをお勧めします。

 

 

 

2.      その他の機能

パワーポイントに関するその他の便利な機能の説明を行います。

·           動作設定ボタン

スライドの中に前のページへ戻るなどの、クリックすると動作を行うボタンを作成することができます。これを行うには挿入タブの「図」グループの「図形」ボタンのメニューの中から「動作設定ボタン」に分類される図形を選択し、スライド上の配置したい場所でドラッグ操作を行います。ボタンを配置すると「オブジェクトの動作設定」というパネルが表示されます。ここで、ボタンの上でマウスをクリックした時の動作を設定します。ボタンを押したらページを移動するという動作を設定するには「ハイパーリンク」の部分をチェックし、その下のメニューでどのページに移動するかを設定します。ただし、作成したボタンの種類に応じた設定があらかじめ行われているので特に理由がなければこの部分を改めて設定する必要はありません。なお、この「オブジェクトの動作設定」パネルは、動作設定ボタンの上で右ボタンをクリックして表示されるメニューの「ハイパーリンクの編集」を選択することで表示することができます。

動作設定ボタンの中にはページを移動するボタン以外にもサウンドを鳴らしたり、他のアプリケーションを実行するボタンもあります。これらについては授業では詳しく解説しませんが、興味のある方は色々試したり、調べてみたりすると良いでしょう。

·           ペン

スライドショーモードで発表時に、画面に表示されているスライドに自由にマウスで 線を書く事ができます。これを行うにはスライドモードでマウスの右ボタンを押して表示されるメニューの中の「ポインタオプション」で表示されるメニューの中からペンの種類を選択します。この状態でマウスの左ボタンを押しながら動かすとその部分に自由に線を書く事ができます。また、「ペンの色」のメニューでペンの色を変更することも可能です。昔のバージョンのPowerPointと異なり、こうして描いた線はスライドのページをめくってもなくなりません。また、スライドショーの終了時に表示されるパネルでペンで入力した内容を保存することも可能です。

ペンモードを解除するには再び右ボタンでメニューを表示し「ポインタオプション」→「矢印」を選択します。また、ペンで入力した内容を消去するには、「ポインタオプション」→「消しゴム」か「スライド上のインクをすべて消去」を選択して下さい。

·           スライドショーモードでの移動

スライドショーモードで、右ボタンをクリックして表示されるメニューで、「移動」→「タイトルへジャンプ」を実行すると、スライドのタイトルの一覧がサブメニューに表示されます。タイトルを選ぶとそのページへ移動することができます。

 

 

·           ウェブページとして保存する

作成したプレゼンテーションをウェブページ(HTML)形式で保存することができます。これを行うにはOfficeボタンの「名前を付けて保存」で表示されるパネルの「ファイルの種類」を→「Webページ」に設定してから保存ボタンをクリックします。

すると、ファイル名.htmというHTML形式のファイルと、ウェブページに貼り付ける画像などのデータが格納されたファイル名.filesというフォルダが作成されます。こうして作成したファイルをウェブ上に公開するには、これらのファイルをすべてウェブページのフォルダ(みなさんの場合Gドライブのwwwフォルダの下のどこか)にコピーして下さい。なお、HTMLに変換した場合アニメーション効果など一部のデータは再現されない点に注意して下さい。また、同様の方法で、Wordで作成した文章をウェブページとして保存することもできますが、この場合も、HTMLではWordで作成した文章をウェブページとして完全に再現できない場合がある点に注意が必要です。

·           テーマの変更

通常は、スライドの背景色は白色、スライドの文字の色は黒色で表示されますが、これを変更することが可能です。あらかじめ用意されているスライドの背景画像や文字の色のデザインのことを「テーマ」(以前のバージョンでは「デザインテンプレート」)と呼び、その中から選択することで様々なテザインのスライドを作成することができます。これを行うにはデザインタブの「テーマ」グループのボタンで行います。左に様々なテーマが表示されているので、メニューから選択するとすべてのスライドに選択したテーマが適用されます。また、「配色」、「フォント」、「効果」ボタンを使ってスライドの配色や文字のフォントを変更することも可能です。スライドの配色などを変えることで同じテーマでも雰囲気を大きく変えることができます。また、スライドに表示する図やグラフの色によっては、テーマを設定することで却ってスライドが見にくくなってしまう場合があるので、そのような場合は配色を変更すると良いでしょう。

·           スライドショーモードと発表練習

プレゼンテーションがうまくなるには場数を踏む必要があります。どんな人でも最初は大勢の前でしゃべるときは緊張するものです。何度もプレゼンテーションの経験を積むことでだんだんとプレゼンテーションがうまくなります。もう一つ重要なのが、発表前の練習です。何の練習もせずにいきなりぶっつけ本番でプレゼンテーションを行うことが出来るようになるには相当の経験が必要です。皆さんの場合は、プレゼンテーションを行う前には、必ず発表練習をするように心がけて下さい。具体的には作成した資料を使って、声を出して、本番と同じように練習して下さい。その時に、もし友達などがいれば、発表練習を聞いてもらい、質問などをしてもらえれば本番でもし同じような質問が出たときに緊張して答えられないという事態を避けることができます。また、一人で何度も発表練習をすることで初心者にありがちな本番時にスライドに書いてある文字を棒読みするといった発表を避けることができるようになります。

·           起承転結のあるプレゼンテーション資料の作成

プレゼンテーション資料の作り方には、必ずこのように作成しなければならないという決まりごとはありませんが、それでも4コマ漫画でいうところの起承転結のようなセオリーはあります。例えばゼミや会社などで何か新しいものを作成し、それについて発表するためのプレゼンテーションでは一般的に以下のような流れでプレゼンテーションを作成すると良いでしょう。ただし、下記の説明はほんの一例にすぎません、状況に応じて臨機応変に作成して下さい。

Ø 
作成したものに関する情報を説明する。

   何を作成したのか?:作成したものが一般的に誰でも知っているものでなければ、作成したものについての紹介を行う。

   作成した目的はなにか?:何故作成することにしたのか?作成したからには、何か作成のきっかけとなった問題点があるはず。それらの問題点をふまえながら、作成の動機や目的を紹介する。いわゆる問題提起を行う。

   既成品の紹介:似たようなものがすでにあるのであればそれについての紹介や比較を行う。また、既製品に何らかの問題点があるのであればそれについて説明を行う。いわゆる関連研究の紹介を行う。

Ø 
作成したものに対する自身のアプローチについて説明する。

   方法の説明:起で説明した、既存の問題点をどのような方法(アプローチ)で解決するか、その手法について説明する。(理論の説明)

   独自性、新規性の説明:上記で説明した方法が、既製品と何が違うのか?どのような点で新しいのか(独自性)を説明する。また、採用した方法が既存品の方法と比べて何がどのような理由で優れているのかを説明する。

Ø 
具体的な作成作業について説明する。

   作業の説明:作成にあたって、具体的にどのような作業で作成したかについて説明する。特に工夫した点があれば説明する。(実践の説明)

   作成時の知見の説明:作成にあたって、当初考慮していなかったような新たな知見や発見が得られた場合、それを説明する。

   作品の評価:作成した作品が当初の目的を達成しているかどうかについて客観的な評価を行う。

Ø 

まとめの説明を行う。当初の目的がどこまで達成できたかなどについてまとめの説明を行う。また、達成できなかったものや、作成にあたって新しい問題点が浮かび上がった場合はそれらを将来の課題として説明する。

3.      課題

4枚以上のスライドを使ったプレゼンテーション資料を作成し、メールでTAさんにメールで添付して提出すること。作成にあたっては以下の点に注意して行うこと。

1.         テーマは何でも良い。架空の内容でもかまわない。
例:好きなアーティストについて、好きなスポーツの選手やチームについて、環境問題について、新型インフルエンザ、格差社会についてなど何でも良い。

2.         1枚目のスライドはタイトルのスライドとし、タイトルの部分には自分で考えた適切なタイトルを、サブタイトルの部分には学部、学年、学生証と名前を記述すること。

3.         2枚目のスライドは選んだテーマの簡単な紹介を行うスライドにすること。

4.         3,4枚目のスライドは選んだテーマに関して特に興味を持っていたり、他人に紹介したい内容を2つ選び、それぞれ1枚のスライドにまとめること。1つの内容が1枚のスライドに収まりきらない場合は2枚以上に分けても良い。

5.         何かテーマに関する自分なりのまとめの意見のようなものがあればそれをまとめたスライドを追加して作っても良い。

6.         2枚目以降のスライドの上部にはそれぞれ自分で考えた適切なタイトルを入れること。

7.         実際に作成したプレゼンテーション資料を使って他人の前で発表するということは時間の都合上行わないが、他人の前でその資料を使って510分程度で発表することを想定して資料を作成すること。

8.         なるべくわかりやすいスライドを作成することを心がけること。発表内容を文章で書いただけのスライドは望ましくない。必要に応じて図や表を利用すると良いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

課題のメールは masaki.yamashita.67@gs-art.hosei.ac.jp までお願いします。

質問のメールなどは、 sigesada@hosei.ac.jp までお願いします。

授業の資料の最新版は http://www.edu.i.hosei.ac.jp/~sigesada/ にあります。