法政大学国際文化学部
情報リテラシーI,II
担当 重定 如彦
2008年5月13日
第8回 World
Wide Web(WWW)
1. WWWとハイパーテキスト
WWWは電子メールと並ぶインターネットの代表的なシステムで、インターネットブームの火付け役となったシステムと言えるでしょう。WWWはハイパーテキストと呼ばれる方式に基づいた情報提供システムであり、WWWによって世界中のインターネットに繋がっているコンピュータに格納されたデータを「ブラウザ(browser)」というアプリケーションを使って簡単な操作で見ることができます。WWWのWebはコンピュータネットワークが蜘蛛の巣のように張り巡らされていることから名づけられました。
WWWにはW3(ダブルュースリー)、WWW(ダブルダブルダブリュー)、Web(ウェブ)など様々な呼び方があります。時々、WWWのことを「インターネット」と呼んだり、「ブラウザ」と呼ぶ方がいますが、WWWはインターネットの応用システムの一つにすぎません。また、ブラウザはWWWの情報を見るためのアプリケーションの名前ですので、これらの呼び方は実は誤用です。しかしこれらの誤用はインターネットのシステムやアプリケーションのなかで、WWWとブラウザが人々に与えたインパクトの大きさを物語っているといえるのではないでしょうか。
ハイパーテキスト(hypertext)は、テキスト同士を「リンク(link)」と呼ばれるものによって結びつけることができるテキストデータのことです。従来の紙などに書かれたテキストでは、文章中に書かれている参考文献を参照するためには図書館などで文献を調べる必要がありましたが、ハイパーテキストでは他のテキストを参照する部分がリンクという形(通常下線付きの青色の文字で表示されます)で表示され、リンクの部分をマウスでクリックするだけで、インターネットから参照する文章をとってきて画面に表示することができます。このように、ハイパーテキストは「テキストとテキストをインターネットを通じて簡単な操作でリアルタイムに結び付ける」という通常の紙のテキストにはない画期的な能力をもつために、ハイパーなテキストと名づけられました。
WWW上のハイパーテキストで書かれたデータを表示するアプリケーションのことを「ウェブブラウザ」または単に「ブラウザ」と呼びます。代表的なウェブブラウザにはFirefoxとInternet
Explorer(通称IE)がありますが、これ以外にも様々なブラウザが存在します。この授業ではWindowsに標準的についてくるIEの使い方について説明しますが、どのブラウザも基本的な操作方法はほとんど同じです。多くのウェブブラウザはインターネットから無料で手に入れることができるで、自分が使うブラウザは自分が使いやすいと思ったものを使えば良いでしょう。
2. WWWの仕組み
·
URL、URI
ブラウザの使い方を説明する前にWWWの簡単な仕組みについて説明します。WWWを使って見ることができる情報はウェブサーバ(又はHTTPサーバ)と呼ばれるコンピュータのディスクの中に格納されており、ブラウザでURL(Universal
Resource Locater)又はURI(Universal
Resource Identifiers)と呼ばれる情報が格納されている住所を指定することで、ブラウザに見たい情報を表示させることができます。URLを指定してブラウザに表示した情報のことをウェブページ(又は単にページ)と呼びます。
URLは以下のような形で記述します。
プロトコル名://ウェブサーバのホスト名/ファイルのパス名
多くの場合、プロトコル名のところには、WWWの標準的なデータ転送プロトコルであるHTTP(HyperText
Transfer Protocol)を書きます。また、ウェブサーバ内に格納されている情報は一般にコンピュータのハードディスク上にファイルの形で格納されており、ファイルのパス名を指定することで閲覧したいウェブページを指定します。
例えば法政大学のウェブサーバのドメイン名は
www.hosei.ac.jp 、ウェブページの入り口に相当するウェブページのファイルのパスは
index.html なので、
http://www.hosei.ac.jp/index.html
とウェブブラウザに指定することで法政大学のウェブページを表示することができます。ブラウザにURLを指定してウェブページを表示させるには、ブラウザのツールバーの「アドレス」の右の部分にURLを入力してエンターキーを押します。なお、URLは必ず半角の英数字で入力する決まりになっているので注意して下さい。
参考:ドメイン名の部分にはIPアドレスを書くこともできます。nslookup
というコマンドを使ってドメイン名に対応するIPアドレスを調べることが可能です。これを行うには、「スタート」→「プログラム」→「コマンドプロンプト」を実行し、表示されるウィンドウに以下のようなコマンドを入力します。
nslookup ドメイン名
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WWWサーバとDNSサーバ、ルータ
先ほども述べましたが、WWW上のデータはウェブサーバと呼ばれるインターネットに接続されたコンピュータに格納されています。ウェブブラウザにURLを入力すると、ウェブブラウザはURLのドメイン名で指定されたウェブサーバをインターネット上から探し、パス名で指定したファイルを送ってくれるように要求します。このときに使われる標準的なプロトコルがURLの最初の部分に記述するHTTPです。
ところで、インターネットには世界中のコンピュータが繋がっており、それぞれのコンピュータにはIPアドレス(ドメイン名)で名前が付けられていると以前の授業で述べましたが、どのようにしてIPアドレスから目的のコンピュータの場所を探すのでしょうか?人間の場合、通常IPアドレスではなくドメイン名を使ってコンピュータを指定するため、まず最初にドメイン名をIPアドレスに変換する必要があります。この作業は、DNS(Domain
Name Server)サーバと呼ばれるIPアドレスとドメイン名の対応表を管理するコンピュータが行います。次に、IPアドレスからコンピュータの具体的な位置を知る為に、ルータというIPアドレスとそのIPアドレスに対応するコンピュータの所在を管理するコンピュータが使われます。
実はDNSサーバもルータも1つではなく、世界中のあちこちに存在しています。例えばルータは、それぞれの自分の担当する(自分の近くに存在する)コンピュータのIPアドレスの情報だけを管理しています。何故このようになっているかというと、もし世界にルータがたった一つしかなく、それがすべてのコンピュータのIPアドレスを管理したとすると、そのルータに世界中のコンピュータ(数億台以上!)から問い合わせが同時に殺到し、処理しきれなくなってしまいます。また、一つしかないルータが故障してしまうと世界中のコンピュータがインターネットを利用できなくなってしまいます。そこでルータは「分散処理システム」として実現されています。
ウェブブラウザにURLを指定すると、まずブラウザは最寄のDNSサーバにURLで指定されているドメイン名のIPアドレスを尋ねます。次にDNSサーバから得られたIPアドレスのコンピュータの所在を最寄のルータに尋ねます。もしそのルータが所在を知らなかった場合は、そのルータの近くにある別のルータに聞きにいきます。このように、ルータは目当てのIPアドレスのコンピュータの所在がわかるまで、近くのルータに伝言ゲームのような形で聞いてゆきます。人間の場合伝言ゲームを行うと途中で情報が入れ替わったりする危険がありますが、コンピュータ同士の場合そのようなことはありませんので、目的のコンピュータがインターネットに繋がっている限りいつかは所在がわかるという仕組みになっています。
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HTML
WWW上に置かれている大半の情報はHTML(HyperText
Markup Language)と呼ばれている言語で記述されています。HTMLはその名のとおりハイパーテキストデータを記述するための言語で、文章の中にリンクを埋め込んだり、表や図形などのマルチメディアデータを埋め込むことができます。HTMLはメモ帳などを使って誰でも気軽に書くことができるために爆発的に普及しWWWの標準的な記述言語となっています。HTMLの詳しい書き方については後の授業で詳しく行う予定です。
3. ウェブブラウザ(IE)の基本的な使い方
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IEの実行
IEを実行するには「スタートメニュー」→「インターネット」を実行します。
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画面構成
IEにはいくつかのバージョンがあり、IEの一つ前のバージョンの画面構成はExplorerとほぼ同じです。一方最新のバージョンのIEは若干画面構成が異なっていますが基本的な使い方は変わりません。法政大学ではIEの最新版がインストールされていますので、授業ではそちらの説明を行います。タイトルバーの下にIEで表示するウェブページのアドレスを入力するための「アドレスバー」が配置され、その下にツールバーなどのボタンが配置され、その下のメインの部分にウェブページの内容が表示されます。ウェブページの内容は文字、画像、フォーム(後述)などから構成され、リンクは一般に文章の場合は下線が引かれた文字の文章として表示されます。
また、ウェブページにはそれぞれタイトルをつける慣習になっており、そのタイトルがタイトルバーに表示されます。
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URLの指定方法
見たいウェブページを表示するには、アドレスバーの中にURLを入力し、エンターキーを押します。ネットワーク回線の使用状況や、ウェブページのサイズによってはしばらく時間がかかりますので何度もエンターキーを押したりせずに待ってください。
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リンク操作
リンクは別のウェブページを指しており、リンクの上にマウスカーソルを移動させて、操作ボタンをクリックすることで、本体部分の表示をリンクが指すページの内容に移動することができます。リンクは文字だけではなく、画像がリンクになっている場合もあります。文字のリンクは一般に青色の文字で下線が表示されているのでどこがリンクかわかりやすいのですが、画像のリンクはぱっとみただけではその画像がリンクであるかどうかわかりにくい場合があります。文字や画像がリンクであるかどうかを見分けるには、その文字や画像の上にマウスカーソルを移動させマウスカーソルの形を見て下さい。マウスカーソルの形が人差し指を立てた形状になっている場合はその下に表示されているものがリンクであることを表します。また、その時にウィンドウ下のステータスバーにリンク先のウェブページのURLが表示されます。
また、リンクの文字が青ではなく、紫色で表示されることがありますが、それはそのリンクを最近ウェブブラウザで見たことがあるということを意味します。なお、このリンクの文字の色はウェブページのHTMLを書き換えることで簡単に変更することができるので、リンクの文字色が必ずしも青や紫色でない場合があります。
ウェブページを見てその中のリンクをクリックするという操作を繰り返すことで、簡単に世界中のコンピュータに格納されているウェブページを閲覧することが可能です。このように、クリックするだけで世界中のウェブページを次々と移動する様子が、サーフィンに似ていることから、ウェブブラウザであちこちのウェブページを見ることをウェブサーフィンすると呼びます。
·
操作ボタン
操作ボタンについてよく使われるものについて解説します。
Ø
戻る
アドレスバーの左にある「←」マークのボタンで、本体部分の表示内容を一つ前に見たウェブページの内容に戻します。
Ø
進む
アドレスバーの左にある「→」マークのボタンで、直前に戻る操作を行っていた場合、本体部分の表示を一つ先に進めます。
Ø
中止
アドレスバーの右にある「×」マークのボタンでウェブページの読み込みを中断します。ネットワークが重くて(=混んでいて)なかなかページが表示されない時などで、読み込みを中断したい時に使います。
Ø
最新の情報に更新
アドレスバーのすぐ右にあるボタンで現在表示されているウェブページの内容を更新します。ウェブページによっては定期的に内容が更新されるものもありますので最新の情報を見たい場合や、中止ボタンで読み込みを中断したページを再び読み込みたい場合などに使います。
Ø
最近表示したページ
アドレスバーのすぐ左のボタンをクリックすると、最近表示したページの一覧が表示されます。また、その中で「履歴」のメニューを選択することで、最近数週間の間に表示したページの履歴が画面左部分に表示されます。履歴の表示を消したい場合は、左の履歴の中の「×」ボタンをクリックして下さい。
·
様々なボタンの操作
IEの本体のすぐ上にボタンの操作について説明します。
Ø
ホームボタン(家のマークのボタン)
ウェブブラウザを最初に立ち上げたときに表示されるウェブページのことをホームページと呼びます。ホームボタンを押すと本体部分にホームページの内容が表示されます。ホームページを変更したい場合はホームボタンの右の▼マークをクリックし、「ホームページの追加と変更」を選択して下さい。
Ø
「ページ」→「新規ウィンドウ」
新しいIEのウィンドウを開きます。同時に複数のウェブページを別々のウィンドウで表示したい場合などで使います。
Ø
印刷ボタン
プリンタのマークのボタンで。現在表示されているウェブページの内容を印刷します。右の▼ボタンをクリックして表示されるメニューから「印刷プレビュー」を選ぶことでどのように印刷されるかを確認することができます。
Ø
「ページ」→「名前を付けて保存」
現在表示されているウェブページの内容をディスクに保存したい場合に実行します。ファイルの種類の部分に「Webページ、完全」を指定すると、画像データも含めた完全なデータが保存されます。「Webページ、HTMLのみ」を指定すると、ウェブページ内の文章データ(リンクを含む)のみが保存されます。
保存するフォルダを指定するには、左下の「フォルダの参照」ボタンをクリックして指定して下さい。保存したファイルは拡張子が.html(又は.htm)というファイルで保存されており、そのファイルのアイコンをダブルクリックすることで、IEが実行されその中身をみることができます。
なお、ファイルの種類で「Webアーカイブ、単一のファイル」を指定して保存すると、1つのファイルでウェブページの内容を保存することができますが、このファイルはIE以外のウェブブラウザでは表示できない点に注意が必要です。
Ø
「ページ」→「切り取り」、「コピー」、「貼り付け」
本体に表示されている内容をカットアンドペーストすることができます。クリップボードに入れたい部分を指定するにはマウスでドラッグして設定して下さい。
Ø
「ページ」→「ソースの表示」
現在表示されているウェブページのソース(HTMLで書かれた文章データ)を表示します。ソースについては後の授業で詳しく説明します。
Ø
「ページ」→「拡大」、「文字のサイズ」
本体に表示される内容を拡大したり、文字のサイズを変更できます。
Ø
「ページ」→「エンコード」
本体に表示される文字の文字コードを設定できます。文字化けした場合はこのメニューから正しい文字コードを選択して下さい。
Ø
「ツール」→「メニューバー」
アドレスバーの下にメニューバーを表示するかどうかを設定します。
Ø
「ツール」→「ツールバー」
アドレスバーの下に様々なツールバーを表示するかどうかを設定できます。普段使わないツールバーは表示しないようにしておくと良いでしょう。
Ø
メニューの「編集」→「このページの検索」 または Ctrl+f
本体に表示されている文章の中から文字列を検索します。表示されるパネルの中に検索したい文字を入力し、「次を検索」ボタンを押します。
Ø
お気に入り(ブックマーク)
よく利用するウェブページを見る場合、毎回URLを手で入力するのは面倒です。そこでウェブブラウザには、URLを集めた「しおり」のようなものを作ることができ、これを「お気に入り」(ブラウザによっては「ブックマーク(bookmark)」とも呼ぶこともあります)。お気に入りを利用するには、左にある黄色い☆のマークのボタンをクリックします。画面左にお気に入りに登録されたウェブページのタイトルの一覧が表示されます。お気に入りの上でマウスの右ボタンをクリックすることでお気に入りの中身を操作するためのメニューが表示されます。お気に入りの中にフォルダを作成し、ファイルと同じようにお気に入りを整理することも可能です。
現在表示されているウェブページをお気に入りに追加するには、一つ右のボタンをクリックし、メニューから「お気に入りに追加」を選択します。細かい設定を行うパネルが表示されるので、そのまま「追加」ボタンをクリックすることで現在表示されているページをお気に入りに追加されます。
Ø
タブブラウジング
最新のIEから、タブブラウジングと呼ばれる機能が追加されました(この機能はNetscapeやFirefoxなどの他のブラウザには昔からあった機能です)。これまでのIEでは一つのウィンドウに一つのウェブページしか表示できませんでしたが、タブブラウジングでは一つのウィンドウに複数のウェブページを切り替えて表示することができます。お気に入りボタンの右に現在そのウィンドウが扱っているウェブページのタイトルの一覧がタブと呼ばれるボタンで表示されるのでそのボタンをクリックすることで表示を切り替えることができます。
タブボタンの一番右の何も書いていないボタンをクリックすることで新しいタブを追加することができます。また、Ctrlキーを押しながらリンクをクリックするか、リンクの上で右ボタンをクリックし「新しいタブで開く」を選択することで、リンク先のページを新しいタブで開くことができます。タブを閉じるには、タブボタンの右にある「×」ボタンをクリックします。また、タブボタンの一番左の小さな四角が4つ表示されているボタンやその右の▼ボタンをクリックすることで現在そのウィンドウが扱っているタブの一覧を画像やメニューで表示して選択することができます。
4. WWWの用語
WWWでよく使われる用語について説明します。
·
ホームページ
(homepage)、トップページ
(top page)
正式には、ウェブブラウザを立ち上げたときに最初に表示されるページのことを表しますが、ウェブページのうち目次などが書かれている一番上のページもホームページ(これを正式なホームページの用法と区別し、トップページと呼ぶこともあります)と呼ばれます。一般に後者の意味でのホームページのURLのパスは
index.html と記述されます。また、このindex.htmlを省略することができる場合もあります。例えば法政大学のトップページは http://www.hosei.ac.jp/
のようにindex.htmlを省略できます。
よく、すべてのウェブページのことをホームページと呼ぶ方がいますが、それは誤用なので注意して下さい。またホームページは、HPと略されることもあります。
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サイト
(site)
同じ人物(又は組織)が作った関連するウェブページ全体のことをサイトと呼びます。例えば、法政大学のホームページから辿れる法政大学関連のウェブページをすべてひっくるめたものを法政大学のサイトと呼びます。
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リンク集
自分のサイトと関連する、他人のサイトのトップページのリンクを集めたウェブページです。複数のサイトがお互いのリンク集のページに相手のウェブページをリンクすることを相互リンクと呼びます。
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フレーム(frame)
通常ウェブページは一つの部分で表示されますが、ウェブページが左の目次部分と右の内容部分のように二つ以上の部分に分けて表示される場合があります。このように分割して表示されたウェブページのそれぞれの部分をフレームと呼びます。フレームは通常、目次部分と目次の内容を表示する本体部分から成っており、目次部分のリンクをクリックすることで本体部分の内容が変化するようになっています。
フレームは実は同時に2つ以上のウェブページを一つのウィンドウ内に分割して表示しています。ただし、アドレスバーにはフレームのうち片方のURLしか表示されない点に注意して下さい。
·
テーブル
(table)
ウェブページ内に表示された表のことをテーブルと呼びます。
·
フォーム
(form)
通常ウェブページには文字や画像などが記述されますがそれ以外にユーザが操作可能なテキストボックスやボタンを表示させることができ、これをフォームと呼びます。
例えば、法政大学のホームページの右上の「検索」と書かれたボタンとその左右にある文字を入力するテキストボックスなどがフォームです。このテキストボックスに検索したい文字列を入力し、検索ボタンをクリックすることで、法政大学のサイトのウェブページ全体の中から指定した文字列を探すことができます。
·
リンク、URL、URI、HTTP、HTML
このプリントの前半部分に解説してありますのでそちらを参照して下さい。
なお、リンクをハイパーリンクと呼ぶことがありますが、意味はリンクと同じです。
5. WWWとブラウザの歴史
ハイパーテキストという考え方が生み出されたのは50年以上も前のことで、1945年にVannevar
Bushがmemexと呼ばれる今日のハイパーテキストシステムの原型となるようなシステムを提案しています。memexは驚くべきことに、50年も先に実用化されることになる様々なコンピュータのアイディアが盛り込まれていましたが、当時の技術ではコンピュータは数値計算をすることがせいいっぱいで、そのシステムを実現することはできませんでした。その後技術の発展とともに、1960年代に、Douglas
C. Engelbart や
Theodor H. Nelson らがハイパーテキストをコンピュータ上で実現するための研究を行いました。ハイパーテキストという言葉もこのころに作られたものです。
WWWは1989年に、スイスの研究所でTim
Berners Lee によって提案されたシステムです。当初は物理学の研究者達がお互いの研究データを共有するためのシステムを開発することがWWWの目的でした。それまでにもGopherと呼ばれる情報共有システムは存在していましたが、Gopherはテキストとテキストを結び付けるための機能はなく、また文字データしか扱えませんでした。それに対してWWWではリンク機能だけではなく、画像や音声データなどのマルチメディアデータを扱うことが可能です。
このようにWWWは当時の他の情報共有システムと比べて画期的な機能を持っていましたが、しばらくの間は一部の研究者の間にしか広まりませんでした。その最も大きな理由はWWWのデータを閲覧するための使いやすいブラウザが存在しなかったからです。初期のウェブブラウザは現在のようにGUIを使った簡単な操作ではなく、コマンド入力などの複雑な操作を必要としたため一般のユーザが使うことは困難でした。WWWが爆発的に普及するきっかけとなったのは、1993年のアメリカの大学によるMosaicというウェブブラウザの開発です。Mosaicは今日のウェブブラウザの原型ともいうべきもので、GUIによる操作で誰もが簡単にWWW上のデータを見たり、リンクを辿ることができ、その使いやすさと便利さからあっというまに世界中に広まりました。Mosaicは大学で作られたものですが、その後開発者が会社へうつり、Netscapeというブラウザを作りこれが大ヒットしました。その後しばらくの間はブラウザといえばNetscapeという時代がつづきましたが、マイクロソフト社が新しくInternet
Explorer(IE)というブラウザを開発し、現在ではこのIEがウェブブラウザのシェアの大きな部分を占めています。
6. WWWで得られる情報
ほんの数十年前までは、世界に向けて情報を発信できることができたのは、マスコミなど極一部の人々に限られていました。しかし、WWWの出現により、現在では誰もが簡単に情報を世界中に向けて発信することが可能になっています。WWWは世界中のありとあらゆる情報がつまった情報の宝庫といっても過言ではありません。WWWをうまく利用することで簡単に様々な情報を手に入れることができます。
WWWで提供されている情報の種類としては主に以下のようなものがあります。
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ニュース
新聞会社などがWWWでニュースを提供しています。例えば
朝日新聞 http://www.asahi.com/
読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/
日経新聞 http://www.nikkei.co.jp/
などがあります。また、スポーツ情報や天気情報などの情報も提供されています。
気象庁 http://www.jma.go.jp/jma/index.html
スポーツ系 http://sports.yahoo.co.jp/
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美術館・博物館
美術館や博物館が展示品の情報を提供しています。
東京国立博物館 http://www.tnm.go.jp/
ルーブル美術館 http://www.louvre.fr/
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インターネットショッピング
インターネットを使ったオンラインショッピングが提供しています。なお、大手ショッピングサイトはおおむね安全ですが、中には代金だけとって商品を渡さないサイトや、入力したクレジットカード番号を悪用する詐欺まがいの悪質なショッピングサイトもありますので、利用の際は注意が必要です。
Yahoo!ショッピング http://shopping.yahoo.co.jp/
amazon.com http://www.amazon.co.jp/
また航空機などのチケットのオンライン販売サイトなどもあります。
JAL http://www.jal.co.jp/
ANA http://www.ana.co.jp/
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情報提供
地図、路線図、時刻表など、さまざまな情報が提供されています。
Google
マップ http://maps.google.co.jp/
マピオン http://www.mapion.co.jp/
駅すぱあと http://biznsold.nikkeibp.co.jp/cgi-bin/expwww/biztech_route
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サーチエンジン
WWW上から知りたい情報が載っているウェブページを探すためのウェブページです。サーチエンジンの詳しい使い方については次回の授業で説明する予定です。
Yahoo http://www.yahoo.co.jp
Google http://www.google.com
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一次情報
インターネットの良いところの一つには、例えばマスコミなどの誰かの目を通して加工された二次情報ではなく、世界中のオリジナルの情報(一次情報)をみることができるというものがあります。例えば、日本のマスコミが伝える中東の情報は日本のマスコミの解釈が加わったある意味において偏った情報ですが、インターネットを使えば中東の生の情報をしかもそれぞれの立場から得ることができます。興味がある方は現地の人が作った中東のページを探して見ると良いでしょう。
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掲示板
特定の話題に対して誰もが書き込んで意見を交換することができるページです。これらの掲示板ページには文字を書き込むためのフォームが用意されており、そこに自分の意見を書いて送信ボタンを押せば誰もが気軽に自分の意見を書くことができます。これらの掲示板に書き込んでいろいろな人と意見を交換することは楽しいことですが、掲示板を使う際には以下の点に注意して下さい。
Ø
フレーム(flame)に注意(ブラウザのフレーム(frame)とは異なります)
電子メールの時にも述べましたが、文字でコミュニケーションを行う場合、ささいな言葉の行き違いによって簡単に喧嘩になってしまいますので言葉使いには気をつけて下さい。また、掲示板は一般に匿名で書き込みができるので、残念ながら自分の名前を隠したまま無責任にいやがらせなどの発言を掲示板に書き込む人がいます。このような掲示板でのいざこざをフレームと呼びます。フレームは掲示板の管理者や、その掲示板で楽しく意見を交換している人にとって非常に迷惑です。まじめな議論を行ううちに、熱くなって言葉がきつくなる程度なら場合によってはかまわない場合がありますが、いやがらせだけを目的にフレームを起こすことは決してしないで下さい。わざと場の雰囲気を壊してフレームを発生させるような人物のことをフレーマー(flamer)と呼びます。多くのフレーマーは自分の発言の結果、掲示板の場が荒れるのをみて楽しむ傾向があるので、もし掲示板でフレーマーにあった場合は、無視するのも一つの手です。なお、匿名とはいえ、掲示板の管理者には掲示板に書き込んだ内容がいつどのコンピュータから書き込まれたかの情報をある程度は知ることができます。また、犯罪的な内容を書き込んだ場合、警察が詳しく調べれば誰が書き込んだかわかる場合があり、実際に逮捕された人もいますので、皆さんはくれぐれもフレーマーのような大人気ない行動は行わないようにして下さい。
Ø
自分勝手な書き込みはしない
よく掲示板で質問をしたら答えが返ってくるのは当然だと思い、返事が返ってこなかったり、そのくらいなら自分で調べたらいかがですかとたしなめられたりすると怒り出す人がいますが、それは筋違いというものです。答える為にはいろいろ手間をかけて調べたり、時間をかけて文字を打たなければならず、かなりの労力が必要だという事を忘れないで下さい。
また質問に限らず掲示板などに書き込む場合には電子メールと同じように、要点をはっきりと、簡潔に書くようにこころがけてください。自分がわかっているから相手もわかるだろうというような気持ちで書き込むと他人にはさっぱり意味のわからない自分勝手な書き込みになりがちです。くれぐれもそのようなことがないように注意して下さい。
Ø
個人情報はあまり書かないほうが無難
WWWの掲示板は誰が見ているかわかりませんので、あまり自分の個人情報を書かないほうが無難でしょう。うっかり住所や電話番号を書いてしまい、いたずら電話などをされるケースはめずらしくありません。掲示板によってはハンドル名と呼ばれる一種のあだ名のようなものを実名の代わりに使って書き込む場合が多いようです。とはいえ中には、必ず実名で書き込まなければならない掲示板もありますので、掲示板などに書き込む場合はその掲示板の方針に従って下さい。
Ø
書いてあることは鵜呑みにしない
掲示板に書いてあることは正しいとは限りません。書いてある情報は鵜呑みにせず、別の確かな所から裏づけをとってから信じたほうが無難です。ハンドル名などの匿名で書くことができる掲示板の場合、簡単に他人のハンドル名を使って他人になりすまして書き込むことができます。また、面白がって相手をだます嘘情報を書くような人がいますので、普段から注意して書いてある情報が正しいかどうかをみきわめる目を養うことが重要です。
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その他の個人のページ(ブログ、SNSなど)
インターネットの出現によって、誰もが気軽に自分のウェブページを作って情報を世界に発信できるようになりました。現在では個人の日記ページや、特定の趣味に対する情報交換ページなど、ありとあらゆるジャンルのウェブページが個人によって作られています。その中でも最近ではブログ(Weblogの略)やSNS(Social
Networking Service)と呼ばれるサービスでウェブページを誰でも簡単に作れるようになったため、皆さんの中でもそれらを利用してウェブ上で日記を書いたり、他人と交流されている方も多いでしょう。自分のウェブページを作って他人とコミュニケーションをするのは楽しいものです。ただし、個人のページの場合、書いた文章を気軽に情報発信できてしまうために、裏づけの取られていない情報や憶測で書かれた情報など、間違った情報が書いてあることが多くあります。こちらの場合も書いてある情報をなんでも鵜呑みにしないほうが良いという点に注意して下さい。なお、ウェブページの作り方については後の授業で行う予定です。
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インターネットと自己責任
インターネットの世界は実世界の大人の社会と同様に基本的には自己責任の世界です。間違った情報に踊らされて損害を被っても、基本的に誰も助けてはくれません。
普段からいろんな情報に目を光らせて、何が本当で、何が嘘か、何をして良くて、何をしてはいけないかなどを見極める目を養うことが重要です。
質問のメールなどは、 sigesada@hosei.ac.jp までお願いします。
授業の資料の最新版は http://www.edu.i.hosei.ac.jp/~sigesada/ にあります。