法政大学国際文化学部

情報リテラシーI,II

担当 重定 如彦

2003512

 

7回 電子メール その2

1.      ヘッダ(header)とボディ(body)

電子メールは送信者、宛先、送信日時、件名など、電子メールの転送に使われる「ヘッダ」と呼ばれる部分と、電子メールの内容が記述される「ボディ」(または本文)と呼ばれる2つの部分からなっています。葉書きでいうと、ヘッダが表の郵便番号、宛先、切手、消印などに相当し、ボディが裏の手紙の本文に相当すると言えるでしょう。

ヘッダには宛先や件名のように送信者が書くものや、送信日時などのようにメーラが自動的に記述してくれるもの、配送途中にメールサーバが自動的に記述するものなどがあります。Outlook Expressの場合、送信に使うウィンドウの「宛先」、「CC:」、「件名:」のの部分が送信者が記述するヘッダの内容で、下の本文の部分がボディです。

受信したメールの内容を表示するウィンドウでは、上の灰色の部分に記述されている内容(送信者、日時、宛先、件名など)がヘッダ部分で、その下の本文がボディです。実はメールのヘッダにはこれら以外にも多くの種類が存在しますが、それらのうちの大部分はユーザにとっては特に必要のない情報です。メーラによってはヘッダの内容をすべて表示するものも存在しますが、Outlook Expressの場合ヘッダの中からユーザにとって必要な情報だけを表示するようになっています。

ヘッダの部分にはASCIIコードで表される文字(いわゆる半角文字)で記述するという決まりがあります。最近では、MIMEと呼ばれる方法で全角文字をASCIIコードに変換することで、ヘッダの部分も全角文字を使えるようなメーラが増えてきています。しかし、世の中にはヘッダの部分に全角文字が使われていると正しく文字を読めないメーラが存在しますので、送り先の人が何のメーラを使っているかわからない場合(特に外国人にメールを送る場合)は件名などのヘッダの部分には全角文字を使わないようにすることをお勧めします。

実はヘッダもボディも簡単に偽造することが可能です。例えばFromのヘッダに他人の名前を書いて、他人を騙ったメールを出すことは技術的に可能です。さらに具合の悪いことに電子メールの場合内容が電子的なデータで送られてくるので通常の郵便のように筆跡で本人かどうかを判定することはできません。怪しいメールが届けられた場合は、その内容をすぐに鵜呑みにしないで本人に確認をとることをお勧めします。

参考:ヘッダの具体的な記述例

Outlook Expressでメールに返信した際に Original Message の次の表に表示されるものは実はメールのヘッダの一部です。例えば以下の場合、

----- Original Message -----

From: “sigesada” sigesada@edu.i.hosei.ac.jp

To: sigesada@edu.i.hosei.ac.jp

……(略)

このなかで、FromToではじまる行の内容がヘッダの具体的な内容です。

このようにヘッダは

フィールド名: 内容

のという形式で記述されます。

2.      Outlook Expressの使い方その2

前回説明できなかったOutlook Expressの重要な操作方法について解説します。

·          送信先の指定

Outlook Expressのメール作成ウィンドウには宛先を指定するために3種類のテキストボックスが用意されています。それぞれ意味が異なるので使い分けをして下さい。

Ø         宛先: (メーラによっては「TO:」や「送信先:」の場合もある)

電子メールの内容を直接転送したい人のメールアドレスを書きます。宛先は必ず一つ以上記述する必要があります。

Ø         CC: (カーボンコピー (carbon copy)と呼びます)

電子メールの中身とは直接関わりがないが、参考までに電子メールの内容を知っておいて欲しい人のメールアドレスを書きます。カーボンコピーは送信した電子メールを自分で管理したい場合にも使われ、CC:の部分に自分のメールアドレスを記述することで、自分が送ったメールがそのまま自分に送られます。

Ø        BCC: (ブラインド(blind)カーボンコビーと呼びます)

宛先やCC:の部分に書いたメールアドレスは受け取られた電子メールのヘッダに記述されているため、受け取った人はその電子メールが自分以外の誰に送られたものであるかを知ることができます。しかし、BCCで書かれたメールアドレスは受け取ったメールのヘッダには記述されません。

BCCは電子メール管理のために自分に電子メールを送り返す場合や、複数の人物にお知らせの電子メールを送る場合(この場合、ヘッダ部に全員分のメールアドレスが書かれた電子メールが送られるので、もし送る人数が非常に多い場合、電子メールが非常に長くなってしまいます)などに使われます。BCCで電子メールを送ると、電子メールを送られた人はそれが何故自分に届いたのかわからなくなりますので、上記のような限られた場合以外では使わないほうが良いでしょう。

Outlook ExpressBCC:を使いたい場合はメニューの「表示」「すべてのヘッダー」を選択して下さい。

·          宛先に人名などを記述する方法

宛先やCC:などの部分には通常電子メールアドレスを記述しますが、電子メールアドレスだけでは相手がわかりにくいため、メールアドレスと一緒に送信者の名前を書くことができます。その場合、名前と電子メールアドレスを区別するため、電子メールアドレスは<>の中に記述します。例えば宛先の部分には

hosei tarou <f0123456@edu.i.hosei.ac.jp>

と書くことができます。Outlook Expressでは設定を行うことにより自動的に設定した名前がメールアドレスに付加されるので特にこのような書き方を人間の手で行う必要はありません。名前を設定するには、メニューの「ツール」「アカウント」で表示されるパネルで、「プロパティ」ボタンをクリックし「名前」の部分に記述します。また、Outlook Expressではこの形式でメールアドレスを記述すると、メールアドレスの部分を省略して、名前の部分のみ表示される場合がありますので注意して下さい。

·          複数の人物へメールを送る方法

電子メールでは、普通の郵便と異なり同じ内容の電子メールを複数の相手に簡単に送ることができます。複数の相手に送る場合は、宛先(又はCC:BCC:)に複数のメールアドレスを間を「;」又は「,」(何れも半角です)で区切って記述します。

·          メールの転送

受け取ったメールに対して返事を書く場合には、「返信」ボタンで行いますが、受け取ったメールを内容を変更せずにそのまま他の人に送りたい場合は、「転送」と書かれたボタンを押します。すると、件名の部分に「Fw: 受け取ったメールの件名」、本文の部分に受け取ったメールを引用した文章が書かれたウィンドウが表示されます。返送と異なり、宛先は空欄になっているので、送りたい相手のメールアドレスを記入し、本文の最初に自分の名前と転送メールであることを書き足して送って下さい。

·          アドレス帳

多くのメーラでは、電子メールアドレスを整理するためのアドレス帳が用意されています。メールを受け取った場合、受け取ったメールの送信者のメールアドレスをアドレス帳に登録するにはメニューの「ツール」「送信者をアドレス帳に追加する」を選択します。逆に宛先やCC:の部分にアドレス帳からメールアドレスを写したい場合は、宛先:CC:の左の本の形をしたボタンを押してください。また、アドレス帳を編集するには「アドレス」と書かれたボタンをクリックして下さい。

アドレス帳の詳しい使い方はこの授業ではやりませんが、使いこなすと便利なので興味のある方は各自調べて使ってみると良いでしょう。

·          署名

電子メールの本体の最後には差出人の氏名や連絡先を数行で記述するという習慣があり、これを署名と呼びます。例えば私の署名は以下のようになっています。

重定 如彦
法政大学国際文化学部
102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1
ボアソナードタワー#2213
+81-3-3264-8760
たまに数十行もの凝りに凝った署名を書く人がいますが、余りに長い署名は相手に不快感を与えるだけでなく、ネットワークや相手のハードディスクを圧迫する可能性があるため、署名は3行〜5程度を目安につくることをお勧めします。
署名は電子メールを書くたびに利用するものなので、毎回電子メールを書くたびに文末に手書きで署名を書くのは大変です。そこで大抵のメーラでは、署名を別のファイルで作って置き、電子メール作成時に自動的に署名を電子メールに付け加えてくれる機能があります。Outlook Expressで署名を利用するにはまず署名を書いたファイルを用意します。例えばGドライブのMailというフォルダの中にsignature.txtという署名のファイルを作ると良いでしょう。そして、以下の手順を実行して下さい。
Ø    Outlook Expressのメニューを「ツール」「オプション」の順で選択する。
Ø    表示されるウィンドウの中から「署名」と書かれている部分をクリックする。
Ø    「すべての送信メッセージに署名を追加する」の左のボタンをチェックする。
Ø    もしチェックがついていた場合、「返信と転送メッセージには署名を追加しない」と書かれたボタンのチェックをはずす。
Ø    「作成」と書かれたボタンを押す。
Ø    「署名の編集」の下の「ファイル」と書かれているボタンをチェックする。
Ø    「参照」ボタンを押し、表示されたパネルを使って先ほど作成した署名ファイルを選択し、「開く」ボタンを押す。
これで作成したメールの最後に自動的に署名が記述されるようになります。
·          確認メッセージ
電子メールそのものには普通の郵便と同様に基本的には送った後に相手がそれを読んだかどうかを確認する機能はありません。ただし、メーラによっては送ったメールを相手が読んだかどうかを確認する機能を持つ場合があります。Outlook Expressの場合「ツール」「オプション」で表示されるパネルの「確認メッセージ」ボタンをクリックし、「送信するメッセージすべてに、開封確認メッセージを要求する」の部分をチェックすることで、メールを送った相手がそのメールを読んだ時に確認ボタンが表示されるようになり、相手がその時に確認ボタンをクリックすると確認のメールが自分のところへ送られるようになります。なお、確認メッセージがわずらわしいと思う人もいるため、この機能は(特によく知らない相手にメールを送る場合)多用しないほうが無難です。また、この機能は電子メールの機能ではなく、メーラがオプションで用意している機能なので相手の使っているメーラがこの機能に対応していない場合はこの機能を使っても全く無意味です。私の個人的な質問のメールなどには確認メッセージ機能は使用しないで下さい。ただし、出席と課題のメールは無事届いたかが確認できないと不安になる方が多いと思いますので、それらのメールに限ってはこの確認メッセージ機能を使ってもかまわないことにします。
·          ファイルの添付
電子メールにはテキスト文章だけでなく、ファイルを一緒に送ることもできます。電子メールで本文と一緒に送るファイルの事を添付ファイルと呼びます。Outlook Expressで電子メールにファイルを添付するには、メニューの「挿入」「添付ファイル」を選択して下さい。ファイルを選択するパネルが表示されるので、添付したいファイルを選択し、「添付」ボタンを押すとそのファイルが電子メールで一緒に送られるようになります。ファイルを添付すると、ウィンドウのヘッダを記述する部分に「添付:」と書かれたボックスがつくられ、その中に添付されるファイルのファイル名とファイルのサイズが表示されます。ファイルの添付をやめたい場合は消したいファイルを選択し、マウスのメニューボタンを押し「削除」を選択するかDELキーを押します。
受け取ったメールにファイルが添付されていた場合、メールの受信ウィンドウのヘッダ部分に「添付:」というボックスが表示され、その中に添付ファイルの一覧が表示されます。添付ファイルの中身をみるには、ファイルの部分をダブルクリックして下さい。(注:ファイルの種類によってはファイルを「開く」か「ディスクに保存する」かを選択するパネルが表示されます場合があります)
練習:自分に先ほど作ったsigunature.txtを添付したファイルを送ってみましょう。
·          添付ファイルを使う際の注意
余りに長いメールを転送すると、ネットワークや相手のハードディスクを圧迫するなどいろんな場所に迷惑がかかります。ファイルを添付する場合、送るファイルのサイズが100Kバイトを超えるようなものはできるだけ送らないようにしてください。なお、Outlook Expressの設定によっては添付ファイルのサイズも含めて合計1Mバイト以上のサイズの添付ファイルは送れないようになっている場合があります。
相手から送られてきたメールの中に添付ファイルが含まれていた場合は、不用意に開かないようにして下さい。後で説明しますが、コンピュータウィルスの可能性があります。添付ファイルの拡張子が.txtのファイルの場合、メモ帳でそのファイルを開く限りは大丈夫ですが、拡張子が.exeの実行ファイルなどは特に危険です。
 
·          リッチテキストメール
通常の電子メールでは、本文の文章の文字の大きさを変えたり色を変えたりすることはできませんが、リッチテキストメールと呼ばれるものを使えば送る文章にいろいろな修飾をつけることができます。しかし、リッチテキストメールはいろいろな修飾を付けるために余分なデータを送る必要があり、電子メールのサイズが不必要に大きくなってしまう事があります。また、相手のメーラによってはリッチテキストメールを正しく表示できないものや、リッチテキストメールを嫌うユーザもいますので、送る相手がリッチテキストメールでも良いと確認が取れている場合だけ使うのが無難でしょう。リッチテキストメール形式でメールを送るには、メニューの「書式」「リッチテキスト」を選択します。文字の修飾の方法については、興味のある方は各自調べてみて下さい。私にメールを送る場合、リッチテキストメールは使わないで下さい
·          メーリングリスト
特定のグループ内でメールを使ってやりとりを行う場合は一々全員のメールアドレスを入力するのは大変なので、メーリングリストと呼ばれるメールアドレスが使われます。メーリングリストは一つのメールアドレスが特定のグループ全員分のメールアドレスを表すもので、そのアドレスにメールを送ることで、グループに参加している全員に電子メールが送られます。メーリングリストの作り方は授業の範囲を超えてしまうのでここでは解説しませんが、用語とその意味は覚えておいて下さい。

3.      メールを出す際の注意

 メールを使う際には色々と知っておくべきことがあります。これを知らずに自己流でメールを出すと相手の気分を害したり、ネットワークに余計な負荷をかけてみんなに迷惑をかける可能性がありますので最初のうちは特に注意して下さい。ここでは電子メールを出す時の注意点、代表的なマナーや慣習について書きます。

·          言葉使い

電子メールも手紙の一種なので、目上の人やよく知らない人に電子メールを送る場合は手紙と同じように送る相手にふさわしい言葉遣いで書いて下さい。ただし、電子メールは簡潔に書くことが推奨されているので、通常の手紙でよく使われる季節のあいさつなどは電子メールではあまり使われないようです。

·          内容が簡潔で要点がきちんとかかれているか

だらだらと関係ないことが書かれた電子メールや、要点がはっきりしないメールは嫌われます。先週も述べましたが、電子メールはできるだけ簡潔に、なおかつ要点がわかるように書いて下さい。また、電子メールは一度転送してしまうとそれを取り消すことは不可能です。電子メールを出す前に一度自分で読み直してみて、誤字脱字がないか、意味が理解できるかどうかなどを確認してから出すことをお勧めします。

 

·           一行の長さは70文字(全角の場合35文字)以内に

メールは読みやすいように一行の長さが半角の英数字の場合70文字以内、全角の場合は35文字以内で改行するという慣習になっています。それ以上長い行を書いてしまうと、行が折り返されたり、スクロールしないと残りの部分が見えなくなったりする場合があり、非常に読みにくくなってしまう可能性があります。

また、段落と段落の間には空行を入れて見やすくするのが一般的です。なお、空行はぱっとみると空白の大きなスペースを作ってしまうのでかなりの無駄になってしまうと勘違いする方が時々いますが、コンピュータでは、改行記号のたった1バイトのデータで表現できますので空行はデータ的にはほとんど無駄にはなりません。

·          宛先の確認

繰り返しますが、一度転送した電子メールは取り消すことはできません。転送する前には宛先:CC:の部分のメールアドレスが正しいかどうかを確認しましょう。

·          使わないほうが良い文字が存在する

電子メールの本文には使えない文字が存在します。通常の漢字などは問題なく使えるのですが、@のように○のなかに数字が入っている文字やTUようなローマ数字は実は特定の会社が独自に決めた文字ですので、相手の環境によっては読めない可能性があるので使わないようにして下さい。また、半角のカタカナは多くのメーラで表示することができなかったり相手のメーラにトラブルを引き起こしてしまう可能性がありますので使わないようにして下さい。ローマ数字を使いたい場合はアルファベットで代用すると良いでしょう(I、IIなどを半角で書くとそれらしく見えます)

·          引用は最小限にし、誰が書いた文章かをはっきりさせる

相手のメールに対して返信する場合には「>」記号を先頭につけて書くという慣習になっていますが、この引用は必要最小限な範囲で行って下さい。よく相手のメールを署名まで含めて全文引用して、最後に1行だけ自分の返事を書くようなメールを書く人がいますが、不必要な引用はメールが読みにくくなるだけでなく、ネットワークやハードディスクの負担となります。また、引用する場合はその文章を誰が書いたか明らかにするのが礼儀となっています。Outlook Expressの場合は、メールに返信すると自動的に-----Original Message-----の部分に引用元の情報が書かれますのでそれをそのまま利用してもかまいませんし、引用前に「○○さんは書きました」のように1行で簡潔に引用文を誰が書いたかを記述しても良いでしょう。

·          顔文字

前回、文章でのやりとりは言葉のニュアンスが伝わりにくく誤解がおきやすいと述べました。これを解決するために、記号で書いた顔の表情がよく使われます。例えば

    笑顔  (^_^)   (^o^)  (  ;-)

 泣顔  (;_;)  (T_T)   ;-<

 謝罪  m(__)m  _o_

などがあります。ただし、これらの顔文字を使ったからといって相手が正しく意図を汲み取ってくれるとは限りませんし、暴言を書いてしまった場合その事実が取り消されるわけでもありません。また、人によっては顔文字をふざけているとして嫌う人もいます。顔文字を濫用すると文章が読みにくくなりますので、顔文字はあまり濫用せず、相手によって適度に使い分けることをお勧めします。

·          よく使われる記号

電子メールでは以下の記号が良く使われます。

文頭に>が書かれた場合、その行は引用された文章であることを表します

引用文の中にさらに他人の引用文がある場合は >> を記述します。

文頭に#が書かれた場合、その行の文章は本文のメインの話題とは異なることが書かれていることを表します。

○○ 人名

文中に>が書かれた場合、>の前の文章を>の後の人に伝えたいということを表します。これをリダイレクトと呼びます。

例えば複数の人にメールを出したメールの中で特定の人にだけ呼びかけたい場合などに使われます。

例:    明日7時に電話下さい > 佐藤さん

·          著作権

 他人が書いた文章や他人が作ったファイルには著作権が発生し、勝手に利用することはできないことになっています。他人の書いた文章を必要に応じて引用することは認められていますが、その場合でも必ず誰が書いた文章であるかをはっきりさせ、全体として引用に対して記述した自分の文が主、引用文が従となるようにする必要があります。また、他人が作ったファイルを許可なく勝手に添付ファイルでいろいろな人に送ることも著作権法で禁止されています。他人の作ったファイルを電子メールに添付して送る場合は、そのファイルの作者から許可をとってから送って下さい。

·          メールアドレスはなるべく公開しない

自分の電子メールアドレスをむやみやたらに公開することはあまりおすすめできません。電子メールは普通の郵便と比べるとほとんど只同然で送ることができますので、電子メールアドレスを知られてしまうとそのメールアドレスにいたずらのメールなどを送られてしまう可能性があります。また、メールのヘッダ部分は簡単に偽造することができますので、メールアドレスを知られてしまうと他人が勝手にメールアドレスを使ってその人になりすましてメールを送る(もちろんこれは犯罪の一種です)ということが可能になってしまいます。また携帯電話のメールアドレスは簡単に類推することができますので、できるだけメールアドレスを変更することをお勧めします。

 

4.      電子メールを受けとった際の注意

·          スパムメールは無視する

電子メールを使っていると、頼んでもいないのに知らない人から突然宣伝などのメールが来ることがあります。通常の郵便でも頼んでもいないちらしなどがくることはありますが、電子メールの場合複数の相手に同じ内容のメールを送る事が非常に簡単に行えるのでいろんなところからそのようなメールを受け取る可能性があります。このような迷惑メールのことをスパムメールと呼びます。

メールアドレスを公開した覚えがないのにスパムメールが来る場合があります。そのような場合、自分の個人情報がどこからか漏れているのではないかと心配されるかもしれませんが、大抵の場合、スパムメールを送った人は送った相手の事を良く知りません。相手の事を知らないのに電子メールが届くのは、電子メールの転送費用が非常に安価であることと、メールアドレスが非常に類推しやすいからです。例えばメールアドレスのアカウント名の部分にはユーザの名前がよく付けられるので、メールサーバのドメイン名さえわかってしまえば、そのメールサーバに鈴木さんという人のメールアドレスがあれば、「suzuki@ドメイン名」に電子メールを送ることで実際に鈴木さんが存在するかを知らなくても電子メールが届いてしまいます。また多くの携帯電話のメールアドレスはアカウント名に電話番号を使っているためこちらもアカウント名の部分に適当に数字を並べただけで誰かのメールアドレスを作ることが可能です。

スパムメールを受け取った場合の一番良い対処法は無視することです。お得な情報や、簡単に金儲けをする方法などを謳ったスパムメールはそのほとんどが詐欺情報です。特に金儲けのスパムメールは実際に行ってしまうと犯罪になる場合があります。また怒って抗議のメールを返信するのも逆効果です。例えば、「このメールの情報が必要でなければ以下にメールを送って下さい」という内容に対して返事を送ってしまうとそのメールアドレスが実際に使われている有効なアドレスであることを相手に知らせることになり却って逆効果になってしまう場合があります。

残念ながら現在の電子メールシステムにはスパムメールを完全になくす方法はありません。自分の電子メールアドレスを変更すれば一時的にスパムメールはこなくなるでしょうが、それでスパムメールが二度と来なくなる保障はありませんし、スパムメールが来るたびに電子メールアドレスを変えるのは非常に大変です。スパムメールが来たら無視し、決して返事をしないこと。これは必ず覚えておいて下さい。

·          チェーンメールには返信しない

不幸の手紙をご存知でしょうか?数日以内に同じ文章の手紙を数人に送らなければその手紙を受け取った人が不幸になるという文面がかかれた手紙で、一時期はやったことがありました。残念ながらこれと全く同じことが電子メールの世界でも頻繁におきており、これをチェーンメールと呼びます。チェーンメールもスパムメールの一種ですが、チェーンメールの場合は知人から送られてくる可能性があります。チェーンメールがもし実行されてしまうと、メールの数がねずみ算式にあっというまにふくれあがってしまい、ネットワークがパンクしてしまいます。それだけでなく、チェーンメールを受け取った人は不快な思いをし、人間関係に悪い影響を及ぼしてしまいますので、そのようなメールは受け取っても必ず無視して下さい。

また、最近では不幸の手紙に限らずいろいろなバリエーションのチェーンメールが発生しています。例えば難民に対する募金のお願い、お金儲けの誘い、コンピュータウィルスの情報など様々な手口がありますが、文面に同じ内容の文章を不特定多数の人に送れと書いてあるメールはすべてチェーンメールです。一見すると善意のメールに見えるものもありますが、有益な情報を本当に多くの人に知ってもらいたい場合途中で内容が変わってしまう可能性のある伝言ゲームのようなチェーンメールで送ることは普通ありません。チェーンメールを受け取った場合は絶対に転送しないで下さい。

·          コンピュータウィルス

電子メールを使う際にはコンピュータウィルスに注意する必要があります。コンピュータウィルスはコンピュータの機能を破壊するような悪意のあるプログラムの事で、人間のウィルスと同じように感染したコンピュータに様々な悪影響を及ぼします。最近では電子メールを使ってコンピュータウィルスを相手に送りつけるという手口が広まっており、さまざまな種類のウィルスが今もなお次々と作られています。

コンピュータウィルスが及ぼす影響にはさまざまなものがありますが、例えばコンピュータの中に格納されている個人情報を盗んだり、コンピュータの中のファイルを勝手に消したり、最悪の場合はコンピュータシステムそのものを破壊したりします。

·          添付ファイルによるコンピュータウィルス

メールを使ったコンピュータウィルスには様々な手口がありますが、最も注意しなければならないのが添付ファイルです。メールを使ったコンピュータウィルスの多くは、電子メールの添付ファイルにウィルスの入ったファイルを入れ、そのファイルを不用意に実行してしまうことでコンピュータがウィルスに感染します。

これを防ぐには添付ファイルを不用意に開かないことが一番重要です。メールを使ったコンピュータウィルスの中には、ウィルスに感染したコンピュータがそのコンピュータのユーザになりすまして勝手に他人に(例えばアドレス帳に書かれているメールアドレスの人物全員に)ウィルスメールを送りつけるような悪質なものもあります。この場合ウィルスメールを受け取った人は、知人からウィルスが作成したもっともらしい内容のメールを受け取ることになります。そして、知人から来たメールだから大丈夫だろうと安心してそのメールの添付ファイルを実行してしまうと、ウィルスに感染してしまいます。このようにウィルスメールの手口には巧妙なものが多いので、たとえ親しい友人からのメールであっても送ってくれと頼んだ覚えがない添付ファイルは気軽に開かないようにしてください。

これに対する一番良い対処法は添付ファイルを開けずに無視するというものですが、もしどうしても添付ファイルの中身を見たい場合は、最低限添付ファイルを開ける前にメールを送ってくれた人に確認をとり、後述のウィルススキャンソフトを使ってウィルスが混入されていないことを確認してから開けることをお勧めします。

·          リッチテキストによるコンピュータウィルス

通常の場合は、電子メールの中の添付ファイルを無視しさえすればウィルスに感染することはありません。しかし、リッチテキストで書かれた電子メールの中には実はプログラムを書くことができ、受け取ったメーラによってはメールを開くと同時にそのメールに入っている添付ファイルを勝手に実行してしまうようなプログラムを書いてしまうことができます。もしリッチテキスト形式で書かれたメールの中にそのようなプログラムが書いてあり、ウィルスファイルが添付ファイルの中に入っているとそのメールの本文を読んだだけでウィルスに感染してしまいます。

最新のメーラではたとえリッチテキストにそのようなプログラムが書いてあっても勝手に開かないような対策がとられていますが、万全とはいえません。このようなことからリッチテキストのメールを嫌う人が大勢います。特に必要がない限り、メールにはリッチテキストはできるだけ使わないことをお勧めします。

·          セキュリティホール

 コンピュータソフトは人間が作成するものなのでどうしても欠陥がある場合があります。コンピュータソフトの欠陥の中でもそれを利用するとそのコンピュータで勝手にファイルを実行できるようなものをセキュリティホールと呼びます。メールソフトにセキュリティホールが発見された場合は通常すぐにソフト会社がそれに対処し、パッチと呼ばれる修正ファイルを作成します。このパッチをソフトに適用することをパッチを当てると呼びます。パッチの入手方法はソフトにもよりますが、たいていの場合ソフトを製作した会社のホームページ(ホームページの見方は次回の授業で行う予定です)に行けば無償で入手ができるようになっています。パッチを当てずに放っておくとコンピュータがウィルスに感染する可能性が高くなります。Outlook Expressはよく使われている分狙われやすく、セキュリティホールが良く見つかるソフトです。使用する場合はパッチ情報には定期的に目を光らせておくことをお勧めします。

·          ウィルスへの対処法

最近ではファイルがウィルスに感染しているかどうかを調べるソフトが売られています。送られてきた添付ファイルをどうしても開きたい場合は最低限それらのウィルススキャンソフトを購入し、そのファイルがウィルスに感染しているかを確認してからあくと感染する可能性を減らすことができます。ただし、ウィルスは日々新しいものが作られており、ウィルススキャンソフトはウィルスの被害が発生してから作られるためどうしても後手後手にならざるを得ません。ウィルススキャンにひっかからないウィルスも存在しますので注意が必要です。特に古いウィルススキャンソフトは役に立たない場合がありますので、ウィルススキャンソフトはできるだけ新しいものを使って下さい。最近のウィルススキャンソフトは一度購入すると一定の期間中インターネットから無償で最新のバージョンに更新する方法が用意されています。また、時々ハードディスクのファイルをすべてウィルスチェックソフトで感染していないかチェックしてみることをお勧めします。

昔はコンピュータウィルスが感染しても自分のコンピュータが壊れるだけですんでいたのですが、インターネットが普及してコンピュータがネットワークに繋がるようになった今では、コンピュータウィルスに感染すると、電子メールなどを使って知らないうちに自分のコンピュータを通じてコンピュータウィルスが世界中にばらまかれる危険性がでてきました。場合によっては知らなかったではすまされないことがありますので、コンピュータウィルスにはくれぐれも注意して下さい。

ウィルスに対処するにはウィルスの手口を知ることが一番です。日ごろからコンピュータウィルスの情報に常に目を光らせておくことが最も良いウィルスへの対処法です。ウィルスの情報については様々な書籍が発売されています。また、インターネット上にもさまざまな場所にコンピュータウィルスの情報が書かれているので、もしすでにWWWの使い方をご存知の方は調べてみると良いでしょう。なお、WWWの使い方については次回以降の授業で解説します。

 

5.      課題

sigesada@edu.i.hosei.ac.jp に以下の点に注意して電子メールを2つ送って下さい。

·           一つ目は、件名は「情報リテラシー(I又はII) ○月○日 ○限 出席」とし、本文には学生証番号学年名前を最初の行に記入して送って下さい。出席のメールは次回以降の授業でも同じ要領で授業中に送って下さい。なお、もし授業に関して質問や意見がある場合は、名前の後に自由に書いてもらってかまいません。

·           二つ目は、件名は「情報リテラシー(I又はII) ○月○日 ○限 課題」とし、本文には学生証番号学年名前を最初の行に記入して下さい。

·           Gドライブの好きな場所にkadai2.txtというファイルを作ってその中にこのプリントの1ページ目の「ヘッダとボディ」の章の1行目から14行目(最初の3つの段落)を入力し、二つ目の課題のメールの添付ファイルとして下さい。

·           Gドライブの好きな場所に署名ファイルを作り、課題のメールには署名つけて下さい。

·           なお、家で課題を行う場合は好きなドライブにファイルを作って下さい。また、その場合は法政大学以外のメールアドレスから課題を送ってもかまいません。

 

質問のメールなどは、 sigesada@edu.i.hosei.ac.jp までお願いします。

授業の資料の最新版は http://www.edu.i.hosei.ac.jp/~sigesada/ にあります。