法政大学国際文化学部

情報システム概論

担当 重定 如彦

2008107

 

第3回 ハードウェア(その1)

1.      コンピュータの基本構成

コンピュータのハードウェアは主として以下の5種類の装置から構成されています。わかりやすいように、それぞれの部分を人間や身の周りのものに例えて解説します。

·           中央処理装置:CPU Central Processor Unitの略)とも呼ばれ、プログラムの命令に従って、演算を行ったり、入力や出力を指示します。人間でいうと脳に相当します。

·           記憶装置:データやプログラムを格納する装置で、主記憶装置と二次記憶装置があります。主記憶装置の記憶は人間でいうと脳に蓄えられた記憶、二次記憶装置の記憶は人間の外に蓄えられた記憶(例えばノートなど)です。

·           入力装置:データやプログラムをコンピュータの記憶装置に入力する為の装置です。人間でいうと目や耳に相当し、キーボード、マウス、イメージスキャナ(紙に書かれたものをコンピュータの画像として取り込む装置)、デジタルカメラなどがあります。

·           出力装置:コンピュータが行った演算結果を出力するための装置です。人間で言うと口(声)や手足(動作)に相当し、ディスプレイやプリンタなどがあります。

·          

制御の流れ

 

データの流れ

 
通信制御装置:他のコンピュータと通信をするための装置です。人間でいうと、声を発生するための声帯や文字を書く手、声を伝える空気や文字を書きとめる紙がこれに相当し、モデム、ターミナルアダプタ、通信回線などがあります。

2.      入力装置

入力装置はデータやプログラムをコンピュータの記憶装置に入力する為の装置です。入力装置の良し悪しはコンピュータの使い勝手を左右しますので、入力するデータの種類によって様々なものが存在します。代表的な入力装置としては、文字の入力を行う文字入力装置、図形の入力を行う図形入力装置、ディスプレイ上のマウスカーソルなどの位置情報を入力する座標入力装置、バーコードリーダなどのパターン認識装置があります。

·           文字入力装置

文字の入力に最もよく使われるのがキーボードです。キーボードにはキーの配列によっていくつか種類があり、最もよく使われているものが「QWERTY(クワーティ)」と呼ばれるキーボードで、左上のアルファベットがQWERTYの順に並んでいることからそう名づけられました。QWERTY19世紀に考案されたタイプライター用のキー配列で、英語の単語の性質を考慮し左右の手で交互に文字を入力できるようにキーが配置されています。当時のタイプライターはキーを押すと打鍵と呼ばれる金属の棒を紙に打ち付けることで文字を印刷していたのですが、入力速度があまり速くなりすぎると、棒が絡んでしまい機械が故障してしまうという問題がおこりました。そこで、QWERTYでは棒が絡みにくいようにキーが配置されており、必ずしも英文を最も早く入力できるような配置になっているとはいえません。また、英語の入力を考慮してつくられたキー配列なので、日本語をローマ字で入力する場合も効率よく入力できるような配置にはなっていません。次に有名なのが「DVORAK」(ドヴォラック)と呼ばれる配置で、考案者の名前がとられています。DVORAKQWERTYよりも英文の入力に適した配置になっており、母音(aeiou)が左に位置しているので、日本語の入力の場合でも左右の手で交互に入力が行えることから、一部のユーザの間では人気があります。

余談ですが、DVORAKのほうが入力に適しているのに、何故実際の世の中のキーボードのほとんどがQWERTYなのでしょうか?その理由の一つは、DVORAKのキーボードが考え出される前に、QWERTYのキーボードが世の中に普及してしまったからです。人間は新しく使い勝手のよいものよりも、多少古くて使いにくくても使い慣れたものを使うという習性があります。QWERTY配列のキーボードはDVORAKと比べて入力がしにくいといわれていますが、その差はそれほど大きくなく、相当な訓練を積んだ人でなければ入力速度に大きな差はないといわれていることも、QWERTYが使われている原因の一つでしょう。このように、実際の使い勝手とは別に、世の中に広まってしまったために使われているもののことを、デファクトスタンダード(de facto standard)と呼びます。「de facto」はラテン語で「事実上の」という意味を持ちます。キーボード以外の文字入力装置には、電子ペンなどを使って手書きの文字をコンピュータに直接入力する文字認識装置、紙に書かれた文字を読み取って入力するOCRoptical character reader)(光学式文字読み取り装置)という装置、声を文字に変換する音声入力装置などがあります。

·           図形入力装置

紙に書かれた画像を読み込んで、画像データとして保存する装置としてイメージスキャナ(image scannerと呼ばれる装置があります。イメージスキャナは紙の上の画像を細かい点に分けて、それぞれの点の色を読み込んで符号化することで、紙の上の画像をコンピュータ画像のデジタルデータに変換します。イメージスキャナの原理はFAXやコピー機と同じで、紙に光を当て、反射した光をCCDCharge Coupled Device:電子結合素子)と呼ばれるセンサーで読み取ることで、色を判別します。

また、電子ペンなどを使い手書きの絵をコンピュータの画像として入力するタブレット(tabletという装置があります(教科書P39の図)。

最近では、デジタルカメラや携帯電話に付属するカメラを使って、実際の風景をコンピュータ画像に変換することが出来ますが、このようなカメラも図形入力装置です。

図形入力装置には人間が目で見ることのできない情報を図形として入力する装置もあります。例えば赤外線カメラは人間が目で見ることのできない赤外線をコンピュータ画像に変換することができますし、サーモグラフィという装置は物の表面の温度を色に変換して(熱いほど明るく、冷たいほど暗く表示する)表示します。

·           座標入力装置

座標入力装置は、主にコンピュータのディスプレイの画面の上の位置を示すための装置で、ポインティングデバイスPD: Pointing Device)とも呼ばれます。代表的な座標入力装置にマウスがあります。マウスはその形状がねずみ(mouse)に似ていることから名づけられた装置で、マウスの底面にはマウスの移動を感知するための光学センサーがついており、光の反射によってマウスの移動を感知します。余談ですが、一昔前のマウスには底面にボールがついており、ボールの回転量と方向を調べることでマウスの移動を感知していました。光学式マウスはボール式のマウスよりも多少高額ですが、平らな面でなくても使える、マウスのボールにたまるごみを定期的に掃除しなくても良いという利点があるため、現在では光学式マウスのほうがよく使われているようです。

マウスの上面にはボタンが1〜3個ついており、ボタンを押すことでコンピュータに指示を与えることが出来ます。Windowsのマウスは通常2ボタン+ホイールボタンですが、Macintoshのマウスは1ボタン、Unixのマウスは3ボタンのものが多いようです。

トラックボールは装置の上面にボールをつけ、そのボールを手で直接転がすことによって座標を入力する座標入力装置です。トラックボールはマウスと異なり操作に場所を必要としないのでノートパソコンなどで使われています。

他に良く使われる座標入力装置としては、画面を直接触ることで座標を指定するタッチパネルがあります。タッチパネルは指で直接場所を指定できるという利点があり、装置に場所を必要としないため、銀行のATMJRの発券機などで使われています。

コンピュータ上のマウスカーソルの座標を指定する以外でも、方向を指示する装置は座標入力装置の一種です。例えば、ゲームセンターのゲームによく使われているジョイスティック、家庭用ゲーム機でよく使われるゲームパッド、意外な例としては、車のハンドルも位置入力装置の一種です。また、最近では人間の視線を追跡するメガネによって、人間が見た場所を入力するという座標入力装置が研究されています。

·           パターン認識装置

特定の法則(パターン)で記述されたデータを読み取る入力装置をパターン認識装置と呼びます。よく見るパターン認識装置に商品についているバーコードを読み取るバーコードリーダがあります。バーコードはJISで定められたJANコードで決められた規則でバーが並んでおり、バーには商品の値段などの情報が記述されています。最近よく見かけるQRコードを読み取るための携帯電話のカメラもパターン認識装置の一種です。

文字入力装置のところで挙げたOCRや音声認識装置もパターン認識装置の一種です。OCRは文字の特徴(パターン)を解析することで、紙にかかれた文字を認識し、音声認識装置は声の特徴を解析することで文字を認識します。漢字には何万種類もの文字があり、文字の筆跡は人によって異なるので現在のOCRは残念ながら紙に書いた文字を完全に認識することはできませんが、数字のような種類の少ない文字はほぼ完全に判別することができ、OCRは郵便物の郵便番号の読み取り装置として実際に使用されています。

その他のパターン認識装置としては、マークシートを読み取る光学式マーク読取装置があり、大学入試試験やアンケートなどで使われています。

·           その他の入力装置

これまでに挙げた例以外にも、コンピュータにデータを入力するための様々な入力装置があります。例えば、テレビやビデオのリモコン、マイク(音を入力する装置)、温度計(気温を入力する装置)、自動ドアのマットの部分(人が立ったという情報をコンピュータに入力してドアを開ける)なども立派な入力装置です。

3.      出力装置

出力装置は、コンピュータが行った計算結果をコンピュータの外に出力するための装置です。代表的な出力装置には、ディスプレイとプリンタがあります。

·           ディスプレイ(Display

コンピュータの計算結果を画像として出力する装置です。ディスプレイにはテレビと同じ方法で電子ビームを使ってブラウン管に画像を表示するCRTCathode Ray Tube)と、電圧をかけると透明度が変化する液晶を用いた液晶ディスプレイがあります。

CRTは装置のサイズが大きい、消費電力が多いという欠点がありますが、値段が安いことからデスクトップパソコンのディスプレイとして使われています。一方、液晶ディスプレイは値段が高いという欠点がありますが、(特に奥行きの)サイズが小さく、消費電力が少ないことから、ノートパソコンのディスプレイに使われています。最近では、液晶ディスプレイの値段が安くなってきたことから、デスクトップパソコンのディスプレイに液晶ディスプレイを用いるものが増えてきているようです。

·           プリンタ

一昔前には、コンピュータの普及によりオフィスから紙がなくなるペーパレス時代がそのうちやってくるといわれていましたが、「持ち運びが簡単である」、「余白にメモなどを簡単に記述できる」、「気軽にぱらぱらめくれる」など様々な理由からいまだに紙は根強い人気を誇っており、コンピュータのデータを紙に印刷するプリンタは重要な出力装置の一つです。プリンタには用紙の上にインクリボンと呼ばれる色のついたインクをしみこませたものを置き、上から活字の形を叩くインパクト型と呼ばれるタイプと、叩かずに印刷するノンインパクト型があります。

ノンインパクト型は熱で溶けるインクを塗布したリボンを紙に押し当てる熱転写型、印刷ノズルヘッドからインクを紙に霧状に吹き付けて印刷するインクジェット型、レーザー光線を利用するレーザー型などがあります。このうちインクジェット型はインクの無駄遣いが少なく、高品質なカラー印刷を安価に行えるので最近ではよく使われるようになっています。また、レーザー型は機械の値段は高価ですが、高品質の画像を高速に印刷することができるので業務用などの印刷によく使われます。

·           その他の出力装置

その他の出力装置としては、音を出力するスピーカ、(最近のゲームコントローラによくついている)振動を伝える出力装置などがあります。また、信号機、自動ドア、車のタイヤなど、コンピュータの制御によって動く装置は出力装置の一種です。

4.      通信装置

通信装置はコンピュータ同士をつなぐ装置のことです。通信装置には、実際のデータを流す通信回線と、コンピュータの扱うデジタルデータを通信回線に流すデータに変換するための装置があります。

·           通信回線

通信回線はコンピュータとコンピュータをつなぐ線のことで、線には電気を信号として送る同軸ケーブルやツイストペアケーブル(いわゆる電線のこと)、光を信号として送る光ファイバーケーブル、電波を信号として送る無線通信などがあります。

通信サービスの種類には、一般専用回線、公衆電話回線、公衆データ回線、ISDN回線などがあります。一般専用回線は一本の専用線の両端にコンピュータを直接接続する回線のことです。公衆電話回線は不特定多数のユーザの間が使用できる共用の回線を回線交換サービスと呼ばれる方法によって、アナログデータでデータの転送を行っています。公衆電話回線は通常の電話以外に、FAXやコンピュータの通信回線として使われています。これらの通信サービスは、データをデジタルデータで送るデジタル回線と、アナログデータで送るアナログ回線の2種類があります。

 

 

·           モデム

公衆電話回線のように、アナログデータを使ってデータの転送を行う通信回線を使って通信を行う場合、コンピュータのデジタルデータを公衆電話回線のアナログデータに変換する必要があります。これを行う装置のことを、モデム、または変復調装置と呼びます。モデムは、「コンピュータ→公衆電話回線」の時のデジタル→アナログ変換と、「公衆電話回線→コンピュータ」の時のアナログ→デジタル変換を行います。

·           誤り制御

コンピュータ通信では、さまざまな原因で転送途中にデータにひずみや雑音が入ることがあり、転送データに誤りが生じることが頻繁におこります。例えばデータの転送時にほんの1%の確率で送ったデータに誤りが発生する場合でさえ、10000文字の文章を送った場合、100文字ものデータが間違って送られてしまうことになります。誤りを放置すると送った文章の意味が通らなくなったり、例えば金融関係のデータの場合致命的な結果になりかねません。そこで、コンピュータ通信では、届けられたデータが正しいデータであるかどうかを調べ、可能ならそれを正しいデータに直す必要があります。送り届けられたデータが正しいかどうかを検査することを誤り検査、送り届けられたデータが誤っていた場合に正しいデータに訂正することを誤り訂正と呼びます。また、これらを合わせて誤り制御と呼びます。誤り検査や誤り訂正の詳しい仕組みについてはこの授業の範囲外なので詳しくは述べませんが、データを転送するときに余分な情報を付け加えておくることによって検査や訂正を行います。例えば、データを転送する際に同じデータを3回送るとどうなるでしょうか?3つのデータのうち例え一つが間違って届いたとしても、残りの2つのデータが正しく届けば多数決を取ることで誤りを発見し訂正することが可能です。この場合、送った3つのデータのうち2つ以上が同時に誤って届かなければ正しいデータを送ることができます。実際には同じデータを3回も送るのは非常に効率が悪いのでもっと効率の良い方法をとるのですが、それは授業の範囲外なので、説明は省略します。

5.      記憶装置

コンピュータの記憶装置に求められる性質には、高速な読み書きを行える事と、記憶容量が大きく記録密度が高いこと(密度が高い=平たく言うと小さい装置で多くのデータを記憶できること)、そして誤りがないことの3つがあります。現在の所、このうち最初の2つの条件を同時に満たす記憶装置は残念ながらありません。そこで、計算を高速に行う必要がある主記憶装置に半導体を使った高速な記憶装置、データを大量に保存する必要がある補助記憶装置に磁性体や光を使った記憶容量の大きい記憶装置が使われています。

·           主記憶装置

主記憶装置は一般にメモリと呼ばれ、補助記憶装置と比べてデータの読み書きの速度は非常に速いが、記憶の容量が少ないという性質を持っています。1970年代までは主記憶装置に磁気を使った装置が使われていましたが、半導体を使ったトランジスタやICの発明により、より高速な半導体が主記憶装置に使われるようになりました。

半導体を使った主記憶装置は、記憶装置内に電気を貯める装置を用意し、電圧の高い状態を1、低い状態を0とすることで、デジタルデータを記憶することができます。主記憶装置にはデータの読み書きを行うことができるRAMRandom Access Memory)とデータの読み込みだけを行うことができるROMRead Only Memory)があります。また、RAMには電源を切ると内容が消えてしまうものと電源を切っても内容が消えないものがあります。一方ROMは電源を切っても内容が消えず、ユーザが内容を勝手に書き換えることができないので、円周率の値のように決まりきった値や、コンピュータの起動時に必ず行わなければならないような最も基本的なプログラムが格納されます。

·           二次(補助)記憶装置

補助記憶装置とも呼ばれる装置で、仕組みによって磁気ディスク装置と光ディスク装置に分類できます。

Ø  磁気ディスク装置


磁性体(電圧をかけると磁力を帯びたり帯びなくなったりする性質を持つもの)を表面に塗布したディスク(円盤)です。代表的なものに、フロッピーディスク、ハードディスクがあります。ディスクの上で磁化された部分を1、されてない部分を0とみなして、デジタルデータを保存することができます。磁気ディスクは図のようにディスクの表面を、磁気ヘッドを使って読み書きするという構造になっています。

読み書き時には磁気ディスクが高速回転しており、アクセスアームを伸び縮みさせて磁気ヘッドをディスクの中心から外側までの任意の位置に移動させることで、ディスクの任意の場所を磁気ヘッドで読み書きする(任意の位置をアクセスすることをランダムアクセスといいます)ことができます。磁気ディスク装置はディスクを読み書きの装置から取り外せない固定ディスク装置(又はハードディスク)と、取り外せる磁気ディスクパックがあります。磁気ディスクパックはフロッピーディスクとも呼ばれ、8インチ、5インチ、3.5インチなどのサイズがありますが、現在では3.5インチが主流です。

ハードディスクは現在では数ギガバイト(=数10億バイト)のデータを保存することができます。一方フロッピーディスクは一枚につき約1メガバイト(=100万バイト)のデータを保存できます。

Ø  光ディスク装置

レーザー光線を利用した記憶装置で、代表的なものに音楽CDなどにも使われるCD-ROMCompact Disc Read Only Memory)があります。CD-ROMの表面にはごく微小のピットと呼ばれる数μm(100万分の1cm)の溝が開いており、溝があれば1、なければ0という方法でデジタルデータを保存します。ピットはレーザー光を使って読み取られ、1枚で約600Mバイト(=6億バイト)のデータを保存することができます。基本的にこの溝は一度空けると埋めることはできないので、CD-ROMは一度しかデータを書き込むことができません。他の光ディスク装置として、何度でもデータの読み書きを行えるCD-RW、基本的な原理は同じだがよりおおくのデータを保存できるDVDMOMagnetic Optical)と呼ばれるレーザー光線を利用した記憶装置などがあります。

·           その他の記憶装置

数十年前までは、テープに穴をあけた紙テープが二次記憶装置として使われていました。紙テープは特定の場所に穴が開いていれば0、開いていなければ1を表すという方法でデータを保存し、テープリーダと呼ばれる装置でデータがよみこまれました。

その後カセットテープが記憶装置とて使われていましたが、カセットテープはランダムアクセスができないという欠点(巻き戻しや早送りが必要)のため、フロッピーディスクの登場によりほとんど使われなくなりました。

6.      主記憶装置の仕組み

コンピュータのプログラムやデータは普段はハードディスクなどの二次記憶装置に保存されていますが、二次記憶装置はデータの読み書きが遅いので、実際のプログラムの動作時には一旦プログラムやデータをデータの読み書きを高速に行える主記憶装置に読み込んでからプログラムを実行します。主記憶装置にはメモリセルと呼ばれる電気がたまっていれば1、たまっていなければ0という1ビットのデータを表現する装置が並んでいます。データを1ビット単位で扱うのは効率が悪いので、メモリの中ではメモリセルを8つ(ものによっては16個)ひとまとめにして扱い、それぞれにデータのいわゆる住所であるアドレス(番地)が数字(一般に16進数で表現します)で割り当てられています。例えばメモリのサイズが65536バイトの場合(0000)16〜(FFFF)16のアドレスが割り当てられます(16進数のFFFF=10進数の65535)。

ポイント

·           メモリに格納されたデータにはそれぞれアドレスが割り当てられる。

·           一つのアドレスに1バイト(ものによっては2バイト)のデータが格納される。

メモリは、下図のようにデータをメモリセルによって実際に記憶する「記憶部」、メモリの中のどのデータの読み書きを行うかを指定するための「アドレス選択部」、メモリのデータを読み書きする「制御部」から成っています。

アドレス選択部は読み書きを行いたいメモリのアドレスをA0〜A15までの16個、すなわち16ビット=2バイトのアドレス信号で指定します。制御部はR/W信号によって、「メモリからデータを読み込む」か「メモリにデータを書き込むか」を決めることができ、読み込まれたデータまたは、メモリに書き込むデータは、データバスと呼ばれるD0〜D8までの8個、すなわち8ビット=1バイトの信号で表します。

例えばメモリの(1234)16番地に格納されているデータを読み出すには、アドレス選択部に(1234)16を2進数になおした時のそれぞれの桁をアドレス信号として送ります。(1234)16は2進数になおすと(0001001000110100)なので、アドレス選択部に送られるアドレス信号(1:電気が流れている、0:流れていない)は下の図のようになります。

 

A0

A1

A2

A3

A4

A5

A6

A7

A8

A9

A10

A11

A12

A13

A14

A15

 

制御部ではR/W信号に、データを読み込むということを表す信号を送ります。例えば0が書込み、1が読み込みを表す場合R/W信号に1を送ります。CE信号は、制御部のスイッチのようなもので、CE信号に信号を流している間だけ制御部が動作するので、読み込みや書き込み時には1を送ります。上記のアドレス信号、R/W信号、CE信号を送った結果、メモリの(1234)16番地の内容が読み込まれ、その内容がデータ信号としてデータバスに流れます。例えばメモリの(1234)16番地に56=(01010110)というデータが格納されていた場合、データバスの8つの信号線には、以下の信号が送られます。

 

D0

D1

D2

D3

D4

D5

D6

D7

 

メモリにデータを書き込む場合は、データバスに書き込みたいデータ、アドレス選択部に書き込むメモリのアドレス、R/W信号に書込みの信号(上記の例の場合0)を送ると、指定したアドレスに指定したデータを書き込むことが出来ます。

7.      課題

以下の問題を解き、ta080017@mail.edu.i.hosei.ac.jpに課題のメールとして送って下さい

問1

先ほど説明したメモリ装置の(9ABC)16番地に、(6E)16というデータを書き込むためには、アドレスバスにどのようなアドレス信号(A0〜A15)を、データバスにどのようなデータ信号(D0〜D7)、R/WおよびCE信号にどのような信号を送ればよいか記述せよ。なお、信号は0=電流が流れていない状態、1=電流が流れている状態として記述すること。

問2

今回の授業で例としてあげたもの以外で、身の回りにあるコンピュータの入力装置と出力装置をそれぞれ3つ以上探し、その装置の名前を記述すること。

8.      前回の課題の答え

1.      以下の計算方法により、答えは灰色の部分を合わせて

 1011110001.1011

余り

整数部

 

1の位

小数部

 

753

 

.6875

376

 

.375

188

 

.75

 94

 

.5

 47

 

.0

 23

 

 

 

 11

 

 

 

  5

 

 

 

  2

 

 

 

  1

 

 

 

  0

 

 

 

 

2.       整数部: 1*16+0*8+1*4+1*2+0*1 = 22
 小数部: 0*0.5+1*0.25+1*0.125 = 0.375
 合わせて答えは22.375

3.       8*16+4=132  答えは132

4.       まず2003を2進数になおす。(やり方は省略)

   直した結果は 11111010011

   符号が−なので一番上の桁を1にし、残りの15桁を上記の答えで埋めると答えは

           1000011111010011 となる

5.      −10110.011 = −1.0110011 * 2
符号部は負の数なので1
指数部は127を足す必要があるので4+127=131となる。
131を2進数になおすと10000011となるのでこれが指数部の内容となる。
仮数部は、最初の1.の部分を除いた部分なので
01100110000000000000000 となる

従って答えは以下のようになる。

 

―1.0110011 * 2


               4+127=131=(10000011)

 

 

 

 


1000001101100110000000000000000

(注:左の1が符号部、真ん中の網掛けの部分が指数部、右の残りが仮数部)

6.      ASCIIコード表をみながら対応する数字を書けば答えになる。答えは
49、20、61、6D、20、68、61、70、70、79、2E

7.      1秒間に44100回、2バイト(=16ビット)のデータを必要とするので、2分間(=2*60秒)では、44100*2*2*60 = 10584000
答えは 10584000バイト

8.      一つの点につき4バイト、全体の点の数は1024*768存在するので、全体では
4*1024*768=3145728
答えは 3145728バイト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

課題のメールはta080017@mail.edu.i.hosei.ac.jpにお願いします。

質問のメールなどは、sigesada@hosei.ac.jpまでお願いします。

授業の資料の最新版はhttp://www.edu.i.hosei.ac.jp/~sigesada/にあります。