法政大学市ヶ谷基礎科目
情報処理演習II
担当 重定 如彦
2008年10月1日
第2回 表計算ソフト(その2)
1. データの移動とコピー
l コピー(カット)アンドペースト
注:一々コピー(カット)アンドペーストと記述するのは大変なので、以後はコピーアンドペーストに統一します。なお、移動もコピーと同様の方法で行うことができます。
Excelのセルの中身は、Wordなどの他のアプリケーションと同様にコピーアンドペーストを行うことができます。セルの中身をコピーするには、コピーしたいセルを選択してからコピー操作を行い、コピー先のセルをクリックしてアクティブにして貼り付け操作を行います。また、元にもどす操作を行うと一つ前に行った操作が取り消されます。
元に戻す 上書き保存 貼り付け
コピーアンドペースト、上書き保存、元にもどすなどの基本的な操作は下図のボタンを使って行うことができます。
ただし、ExcelはWordなどの他のアプリケーションと違って、コピーアンドペーストの操作中に、他の編集操作(セルに文字を入力するなど)を行ってしまうとクリップボートの中身が消えてしまう点に注意が必要です。「コピー」や「切り取り」操作によってクリップボードに格納されたデータがクリップボードの中に残っているかどうかは、コピーしたセルの枠が点滅する点線で囲まれているかどうかで判別できます。
·
複数のセルのコピーアンドペースト
複数のセルを一度にコピーアンドペーストすることも可能です。これを行うにはコピーしたいセルを全て選択状態にしてからコピー操作を行います。貼り付けの際は貼り付けたいセルの範囲の左上のセルだけを選択して貼り付け操作を行います。
複数のセルを選択状態にして貼り付け操作を行った場合は、その範囲にクリップボードにコピーしたセルの内容が敷き詰めて貼り付けられます。なお、この場合、選択状態のセルの縦横のサイズが、クリップボードにコピーしたセルの縦横のサイズの整数倍になっている(きれいに敷き詰めることができる)必要がある点に注意して下さい。もし整数倍になっていない場合は、元のデータの部分だけがコピーされます。
なお、Excelでは長方形の形で選択されたセルは以下の方法で表現されます。
長方形の左上のセルの名前:長方形の右下のセルの名前
例えば、A1、A2、B1、B2、C1,C2の6つのセルはA1:C2と表記します。
練習問題その1:以下の手順に従って複数のセルのコピーアンドペーストを行いなさい。
1.
まずExcelに以下の内容を入力して下さい。
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A |
B |
C |
D |
1 |
1 |
3 |
5 |
|
2 |
2 |
4 |
6 |
|
3 |
|
|
|
|
2.
次に数字を入力した範囲(A1:C2のセル)を選択状態にし、コピー操作を行い、E2のセルをクリックしてアクティブセルにして下さい。この時A1:C2のセルが点線で囲まれて表示されますが、これは点線の内部のセルのデータが現在クリップボードに格納されているということを表します。
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A |
B |
C |
D |
E |
F |
1 |
1 |
3 |
5 |
|
|
|
2 |
2 |
4 |
6 |
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3 |
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3.
貼り付け操作を行って下さい。貼り付け操作によってクリップボードにコピーされたA1:C2のセルが以下のようにE2:G3の範囲にコピーされます。
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A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
H |
1 |
1 |
3 |
5 |
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2 |
2 |
4 |
6 |
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1 |
3 |
5 |
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3 |
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2 |
4 |
6 |
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4 |
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4.
次にB5:G8の範囲を選択状態にして、貼り付け操作をおこなって下さい。次のページの図のようにA1:C2の範囲のデータがB5:G8の範囲にきれいに敷き詰められた状態でコピーされます。
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A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
H |
1 |
1 |
3 |
5 |
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2 |
2 |
4 |
6 |
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1 |
3 |
5 |
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3 |
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2 |
4 |
6 |
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4 |
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5 |
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1 |
3 |
5 |
1 |
3 |
5 |
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6 |
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2 |
4 |
6 |
2 |
4 |
6 |
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7 |
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1 |
3 |
5 |
1 |
3 |
5 |
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8 |
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2 |
4 |
6 |
2 |
4 |
6 |
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9 |
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5.
最後に、I2:K4の範囲を選択し、貼り付け操作を行って下さい。元のセルのサイズが3*2であるのに対し、貼り付けようとしたセルのサイズが3*3であり、きれいに敷き詰められないので範囲が無視されて元のデータがそのままコピーされます。
·
マウス操作による移動とコピー
同じ表の内部にあるデータは、マウス操作によってもセルの移動とコピーが行えます。これを行うには、選択状態のセルの枠の上にマウスカーソルを移動させて下さい。マウスカーソルの形が「矢印」の形になった所で、マウスをドラッグ操作し、移動させたい場所の上で、マウスをリリースするとセルの内容が移動します。このとき、Ctrlキーを押しながらマウスをリリースすると、セルの内容がコピーされます。
·
オートフィルによるデータのコピー
セルが長方形の形で選択されている場合、その長方形の一番右下に小さな黒い正方形が表示されます。これをフィルハンドルと呼びます。フィルハンドルを使うと、選択されているセルの内容を縦または横方向に簡単にコピーすることができます。この操作をオートフィルと呼びます。オートフィルを行うにはマウスカーソルをフィルハンドルの上に移動させ(マウスカーソルの形が+記号になります)ドラッグ操作を行います。
選択されているセルが一つの場合、フィルハンドルの上でマウスをドラッグし、左右(又は上下)方向へ移動させることで、指定した範囲のセルに元のセルの内容をコピーします。
オートフィル操作は一度の操作では縦又は横方向にしか行えませんが、縦、横と2回に操作を分けて行うことで、一つのセルを長方形のセルに全てコピーすることができます。
注:オートフィル操作でマウスをドラッグして移動中している間にマウスカーソル付近に表示されるデータは、オートフィル操作の結果セルに入力されるデータを表しています。
練習問題その2:以下の作業を行ってB1のセルに内容をB2:F4にコピーしなさい。
1.
表の一番左上の部分(Aの左の長方形)をクリックし全てのセルを選択状態にし、Deleteキーを押して、全てのセルの内容を消去して下さい。
2.
B2のセルに数字の1を入力して下さい。
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A |
B |
C |
1 |
|
|
|
2 |
|
1 |
|
3 |
|
|
|
3.
フィルハンドルの上でマウスを横方向にドラッグしF2のセルの上でリリースして下さい。すると、B2:F2の範囲に1がコピーされます。
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A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
1 |
|
|
|
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|
2 |
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1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
|
3 |
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|
4.
そのまま、フィルハンドルの上でマウスを縦方向にドラッグしF4のセルの上でリリースして下さい。すると、B2:F4の範囲に1がコピーされます。
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A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
1 |
|
|
|
|
|
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|
2 |
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1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
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3 |
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1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
|
4 |
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1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
|
5 |
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|
オートフィルによる操作は左や上方向にも行うことができます。上記の状態でフィルハンドルの上でマウスをドラッグし、F1の上でリリースするとB1:F1の範囲に1がコピーされます。同様の操作を行い、A1:F4の範囲に全て1をコピーして下さい。
先ほどの例では、全てのセルに同じ数が格納されていました。次の例では複数のセルに異なった数字が格納されていた場合のオートフィル操作について説明します。
選択されている範囲の内容がすべて数字で、それぞれの列のセルの左右(又は上下)の数字の差が等しい場合にオートフィルの操作によってコピーを行うと、コピーした部分のセルの左右(又は上下)の差が等しくなるように数字が埋められます。以下に練習問題その3で実際に例を挙げることにします。
練習問題その3:以下の作業を行いなさい。
1.
全てのセルの内容を消去し、以下の内容を入力しB2:D3を選択状態にして下さい。
|
A |
B |
C |
D |
E |
1 |
|
|
|
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|
2 |
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1 |
2 |
3 |
|
3 |
|
3 |
4 |
5 |
|
4 |
|
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|
|
|
2.
フィルハンドルをドラッグし、G3の上でリリースして下さい。すると、もとのデータでは、左右のセルの数字の差が1だったので、以下のように広がった部分にも自動的に同じ法則で(左右の数字の差が1になるように)数字が代入されます。
|
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
H |
1 |
|
|
|
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|
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|
|
2 |
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
|
3 |
|
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
|
4 |
|
|
|
|
|
|
|
|
3.
フィルハンドルをドラッグし、G5の上でリリースして下さい。もとのデータでは、上下のセルの数字の差が2だったので、以下のように広がった部分にも自動的に同じ法則で(上下の数字の差が2になるように)数字が代入されます。
|
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
H |
1 |
|
|
|
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|
|
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2 |
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
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3 |
|
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
|
4 |
|
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
|
5 |
|
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
|
6 |
|
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|
|
|
セルの左右(又は上下)の差が行によって異なる場合は、行毎に別々に計算が行われます。例えば次のページの表を入力し練習問題その3の2,3の作業を行って下さい。
この場合は、2行目の数字は左右の差が1なので、右に伸ばした場合、2行目には左右の差が1になるように数字が代入されます。一方3行目の数字は左右の差が2なので右に伸ばした場合、3行目には左右の差が2になるように数字が代入されます。また、縦に伸ばした場合も同様の法則で数値が埋められます。
|
A |
B |
C |
D |
E |
1 |
|
|
|
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2 |
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1 |
2 |
3 |
|
3 |
|
3 |
5 |
7 |
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4 |
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|
|
行の内容が例えば1、3、6のように、不規則な状態でオートフィルを行った場合は複雑な計算を使って数値が代入されます。なお、そのような場合にはオートフィルはあまり使われないのと、具体的な計算方法は授業の範囲を超えてしまうので説明は省略します。
セルの中身が数字でなかった場合や、Ctrlキーを押しながらドラッグした場合は新しい範囲に元の内容が繰り返してコピーされます。なお、この場合はコピーアンドペーストの時と異なり新しいサイズが元のサイズの整数倍になっていなくてもOKです。
オートフィルは実は数字と文字が混じったデータにも使うことができます。例えば以下のようなデータを入力し、オートフィル操作で下方向に伸ばしてみて下さい。数字の部分だけが規則正しく変化してコピーされるはずです。なお、このようなコピーは、数字以外の部分の文字が全く同じ文字列である必要があるので注意して下さい。
|
A |
B |
1 |
第 1日目 |
|
2 |
第2日目 |
|
3 |
|
|
このように、オートフィルを利用することで、指定した範囲のセルに同じ数字を入力したり、規則正しいく並ぶ数字を楽に入力することができますのでぜひ利用して下さい。
·
練習問題その4:
オートフィルを使うと九九の表を簡単に作成することが出来ます。以下の表の?のセルを埋め、オートフィル操作を行うことで九九の表を完成させて下さい。
ヒント:九九の表を思い出してみて下さい。九九の表では、同じ行ならば、左右の数字の差は等しいのでオートフィルを使うことができます。また、列についても同様です。
|
A |
B |
C |
1 |
? |
? |
|
2 |
? |
? |
|
3 |
|
|
|
2. 式のコピーと相対・絶対参照
セルの中身が数字または、文字列であった場合は、これまでの説明の通りなのですが、セルの中身が式であった場合の移動・コピー操作は多少複雑です。
式の中に「A1」などのようにセルの名前を使ってセルの中の数字を参照していた場合、それを別のセルにコピーすると、コピー先の式ではセルの名前がコピー元のセルとコピー先のセルの距離だけずれてコピーされます。この説明ではわかりにくいと思いますので、練習問題その5で具体的な例を挙げて見ます。
練習問題その5:以下の手順を行って下さい。
1.
セルの中身を全てクリアし、以下のデータを入力し、E1のセルに =A1 という式を記述して下さい。するとE1のセルには式が計算されA1のセルの中身である「1」が表示されます。
|
A |
B |
C |
D |
E |
F |
1 |
1 |
2 |
3 |
|
1 |
|
2 |
4 |
5 |
6 |
|
|
|
3 |
7 |
8 |
9 |
|
|
|
4 |
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|
|
|
2.
次に、E1を選択し、コピー操作を行い、E2のセルに貼り付けて下さい。直感的には、E1のセルの内容がE2にコピーされるので、E2には =A1 がコピーされると思うかもしれませんが、実際には =A2 という内容がコピーされます(セルの中の式の内容はツールバーの数式バーで確認できます)。これは、E2の内容を一つ下のセルであるE2にコピーしたため、式の中でセルを参照するA1も同様に一つ下のセルであるA2に変更されてコピーされたためこのようになるのです。
3.
そのままF3をクリックし、貼り付け操作を行って下さい。F3は元のE1から1つ右、2つ下のセルなので、コピーされたF3の式の中の A1 も一つ右、2つ下の B3 に変換され、F3には =B3 という式がコピーされます。
|
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
1 |
1 |
2 |
3 |
|
1 |
|
|
2 |
4 |
5 |
6 |
|
4 |
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3 |
7 |
8 |
9 |
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|
8 |
|
4 |
|
|
|
|
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|
|
4.
オートフィル操作を遣ってコピーした場合も同様です。E1のセルを選択し、オートフィル操作によってE1の内容をE1:G3の範囲にコピーして下さい。そして、 E1:G3のそれぞれのセルをクリックして、数式バーの内容をみて、それぞれのセルにE1の式がどのようにコピーされているかを確認して下さい。
ここまでで、何故式をコピーした場合はこんなややこしいことを行うのか?と疑問に思う方が多いと思います。練習問題その6ではその理由を具体的に実例をあげて解説します。
練習問題その6:次の手順に従って野球の勝敗表を作成せよ。
1.
勝敗などの具体的なデータを以下のように入力して下さい。
|
A |
B |
C |
D |
E |
F |
1 |
チーム |
試合数 |
勝 |
負 |
分 |
勝率 |
2 |
巨人 |
|
78 |
53 |
3 |
|
3 |
阪神 |
|
78 |
53 |
2 |
|
4 |
中日 |
|
65 |
65 |
5 |
|
5 |
広島 |
|
64 |
65 |
5 |
|
6 |
ヤクルト |
|
59 |
68 |
3 |
|
7 |
横浜 |
|
43 |
85 |
2 |
|
2.
次に試合数と、勝率を計算する式を入力します。とりあえず、首位の巨人のデータについて計算してみましょう。試合数は「勝数(C2)」と「負数(D2)」と「引分数(E2)」の合計なので、巨人の試合数であるB2のセルに
=C2+D2+E2
という式を入力します。すると、B2のセルに試合数が計算され、134と表示されます。
勝率は「勝数(C2)」割る「引き分けを含まない試合数(C2+D2)」なので、
巨人の勝率であるF2に
=C2/(C2+D2)
という式を入力記述します。すると勝率が計算されて答えが表示されます。
3.
これで巨人の試合数と勝率を計算することができました。残りの5チームについても同じことをすれば表は完成します。ここで、それぞれの試合数と勝率の部分の式を直接手で入力してもかまわないのですが、同じような計算式を何度も入力するのは大変です。コンピュータの操作に慣れた方は、似たような計算を行うのだから、式をコピーすれば良いのではないかと思われるかもしれません。しかし式の内容をそっくりコピーしてしまうと、巨人の試合数や勝率が計算されることになってしまいます。ここで役に立つのが先ほど説明した「式をコピーすると式の中のセルの名前がずれてコピーされる」という方式の式のコピーです。まず、巨人の試合数を計算する式が書かれたB2のセルを選択し、コピー操作を行って下さい。次に、阪神の試合数を表すB3のセルをクリックし、貼り付け作業を行って下さい。するとB3のセルには
=C3+D3+E3
がコピーされ、C3のセルには巨人ではなく、阪神の試合数を正しく計算した結果である133が表示されるはずです。何故このようなことになるかというと、B2の一つ下のセルであるB3に式をコピーした結果、元のB2の式である「=C2+D2+E2」に記述されているそれぞれのセルが一つ下にずれてコピーされるからです。
4.
以下、残りのチームの試合数の部分も同様にB2の内容をコピーして埋めて下さい。それぞれのチームの勝率もF2の式をコピーすれば計算できます。この時、一つ一つコピーするのではなく、F2を選択し、オートフィルを使って、F3:F7にF2の内容をコピーすると素早くコピーすることが可能です。
これで、表が完成しました。何故式をコピーした場合にはセルの参照がずれてコピーされるか理解できたでしょうか?野球の成績表に限らず、様々な表を作る場合には、このように、複数の行や列に対して同じ種類の計算を行うことが非常に頻繁におきます。この時、それぞれの式の中のセルの参照が相対的にずれて変化するという性質があるために、式をコピーする際に式の中のセルも同じだけずらしてコピーが行われるのです。このように、コピーすると、参照するセルが相対的に変化するセルの参照のことを相対参照と呼びます。
一方、コピーした場合にセルが変化して欲しくない場合もあります。このような場合は絶対参照と呼ばれる方法で参照を行います。絶対参照を行うには、セルの列と行の名前の前に$記号をつけて記述します。$記号が記述されている部分はコピーしても変化しません。例えば以下の式が書かれているセルの内容を右に1つ、下に2つにあるセルにコピーした場合内容は以下の表のように変化します。
元のセルの内容 |
=A1 |
=$A1 |
=A$1 |
=$A$1 |
↓ |
||||
コピー後の内容 |
=B3 |
=$A3 |
=B$1 |
=$A$1 |
相対参照と絶対参照を「建物の場所を示す」ということに例えると以下のようになります。
相対参照:自分のいる場所を基準としてここからどうやっていけばたどり着けるかを教える。例:「ここから北にまっすぐ行って2つ目の交差点を右に曲がって右に見える建物」
このような方法で場所を指定した場合、当然自分のいる場所が変わってしまう(表計算の場合、式を別のセルにコピーすることに相当)と目的地の場所も変化してしまいます。
相対参照では例えばA1のセルに
=A2 という式を入力した場合、エクセルにとっては式の中のA2の部分は 「一つ右のセル」というデータが入力されたことになります。そのため、例えばこのA1の中身をC2にコピーした場合、C2のセルには「一つ右のセル」というデータがコピーされ、結果としてC2には
=C3 という式がコピーされることになります。
絶対参照:住所を教える。例:「
自分の場所がどこであろうと(表計算の場合、式をどこにコピーしても)住所で指定した場所は変化しません。
絶対参照を使った例として、次の練習問題その6を行って下さい。
練習問題その6:次の手順で、月にx%の利子がつく銀行にお金を預けた場合、1年後まで毎月利子がいくらになるかを計算する表を作りなさい。
1.
まず以下のような表を作って下さい(下の図では3月〜11月は略しています)。
|
A |
B |
C |
1 |
利子 |
0.01 |
|
2 |
月 |
預金額 |
差額 |
3 |
0 |
100000 |
|
4 |
1 |
|
|
5 |
2 |
|
|
… |
(略) |
|
|
15 |
12 |
|
|
2.
この表ではB1のセルに利子を入力し、B3に最初の預金額を入力すると毎月の預金額と、最初の預金額との差額を計算することにします。ここでは例として利子を0.01(1%)、最初の預金額を10万円としてみましょう。
3.
一ヵ月後の預金額は、最初の預金額に利子を足した金額になります。従ってB4には
=B3+B3*$B$1
という式が入ります。また、1ヵ月後の差額は
=B4−$B$3
という式が入ります。ここで、それぞれの式の$B$1と$B$3が絶対参照を使っていることに注意して下さい。ここで絶対参照を使う理由は、この後、2ヵ月後、3ヵ月後と残りの月の預金額と差額を計算するのですが、その中の式で、利息は常にB1のセルなので、相対参照を使って記述するとコピーしたときにずれてコピーされると計算が正しく行われないからです。また、差額を計算する場合も、元の預金額は常にB3のセルに格納されているので、こちらも絶対参照で記述する必要があるのです。
4.
残りの2〜12ヶ月後の預金額と差額ですが、これらは、1ヵ月後の預金額と差額の式をそのままコピーすればOKです。オートフィルを使ってコピーして下さい。
$記号を使った絶対参照は、見た目の意味がわかりにくいという欠点があります。そこで、セルに名前をつけ、その名前を使ってセルを絶対参照することができます。セルに名前を付けるには名前を付けたいセルを選択し、「数式タブ」→「定義された名前」→「名前の定義」のボタンをクリックして下さい。パネルが表示されるので、名前の右のテキストボックスに名前を入力し、OKボタンを押せば指定したセルに名前を付けることが出来ます。以後は、この名前を式で使うことで、セルを絶対参照することができます。先ほどの表のB1のセルに 「利子」、B3のセルに「初期預金額」という名前をつけ、B4の式を
=B3+B3*利子
に、C4の式を
=B4−初期預金額
に変更して下さい。これで式の内容がずっとわかりやすくなりました。B4:C4のセルをB5:C15のセルにコピーして表が正しく結果を計算することを確かめて下さい。
3. 課題
次のページに書かれている表を入力し、以下の作業を行ってからファイルに保存し、電子メールに添付して課題のメールとして送って下さい。
·
合計の部分(E2:E11)に式を書き、各年の就業者数の合計を求めよ。
·
成長率の部分(F3:F11)に式を書き、各年の前年度との成長率を求めよ。なお、aがbに変化したときの成長率は(b−a)/aという式で求められます。
(注:F2には、前の年のデータがないので式を記述する必要はありません)
·
各産業の構成比を計算する式をB14:D23のセルに記述し、答えを求めよ。構成比は、全体の人口中でそれぞれの産業の人口が占める割合です。なお、求めた結果は%で表示すること(%の表示方法は補足を参照)。
·
作成した表は sangyo.xls という名前でGドライブに保存すること。後の授業で使うので必ず保存しておいて下さい。
·
作成したファイルを添付し、課題のメールとしてTAさんのメールアドレスに送ること。
·
締切りは次回の授業の日までです。
補足:表の中の一部の数字は12,345のように、3桁目で , 記号によって区切られて表示されていますが、これはセルを選択して下図の「ホームタブ」の「数値」の「,」のボタンをクリックすることで、このような表示を行うことができます。また、%表示を行うには、その隣の「%」ボタンをクリックして下さい。
A |
B |
C |
D |
E |
F |
|
1 |
就業者数 |
第1次産業 |
第2次産業 |
第3次産業 |
合計 |
成長率 |
2 |
1950 |
17,418 |
7,838 |
10,671 |
|
|
3 |
1955 |
16,291 |
9,247 |
14,051 |
|
|
4 |
1960 |
14,389 |
12,804 |
16,841 |
|
|
5 |
1965 |
11,857 |
15,115 |
20,969 |
|
|
6 |
1970 |
10,146 |
17,897 |
24,511 |
|
|
7 |
1975 |
7,347 |
18,106 |
27,521 |
|
|
8 |
1980 |
6,102 |
18,737 |
30,911 |
|
|
9 |
1985 |
5,412 |
19,334 |
33,444 |
|
|
10 |
1990 |
4,391 |
20,548 |
36,421 |
|
|
11 |
1995 |
3,820 |
20,247 |
39,642 |
|
|
12 |
|
|
|
|
|
|
13 |
構成比 |
|
|
|
|
|
14 |
1950 |
|
|
|
|
|
15 |
1955 |
|
|
|
|
|
16 |
1960 |
|
|
|
|
|
17 |
1965 |
|
|
|
|
|
18 |
1970 |
|
|
|
|
|
19 |
1975 |
|
|
|
|
|
20 |
1980 |
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