法政大学市ヶ谷基礎科目

情報処理演習II

担当 重定 如彦

20041013

4回 表計算ソフト(その4)

1.      ワークシート

これまでの授業では、一つの表計算のファイルで一つの表を扱っていましたが、実はエクセルでは一つのファイルで複数の表を扱うことができます。この一つの表のことをワークシート(又はシート)と呼びます。実は、エクセルのファイルを新規作成した時点で3つのシートが作られており、授業ではこれまでそのうちの一つのシートしか使っていませんでした。シートを切り替えるには、ウィンドウの下にあるシートのボタンを押します。新規作成した直後には「Sheet1」、「Sheet2」、「Sheet3」という3つのシートが作られており、それぞれのボタンを押すと表示がそのシートの内容に切り替わります。シートは例えば表計算で家計簿を作るときに、4月の家計簿は「Sheet1」に、5月の家計簿は「Sheet2」にという風にデータを別々のシートに分けたほうが整理しやすい場合などで使われます。

シートを新しく追加するには、メニューの「挿入」→「ワークシート」を実行します。シートを削除するには、削除したいシートを選択し、メニューの「編集」→「シートの削除」を行います。エクセルでは、別のシートのセルの内容を使った計算を行うことも出来ます。別のシートのセルを式の中で参照するには、

    シート名!セルの名前   

という方法で参照します。例えばSheet2のA1というセルは 

   Sheet2!A1 

 と記述します。例えばSheet2のA1に1、Sheet3のA1に2と入力し、Sheet1のA1のそれぞれのセルの内容の合計を計算させるには、 

=Sheet2!A1+Sheet3!A1

 と入力します。この時、式の中にセルの名前を入力はこれまでと同様に、そのセルをクリックすればOKです。この場合Sheet1のA1のセルに = を入力した後、Sheet2を表示してからA1のセルをクリックすれば式に 

Sheet2!A1 

が入力されます。

2.      グラフの作成

表計算ソフトの重要な機能の一つに、入力したデータのグラフ化があります。グラフ化をすることで、データを視覚的にわかりやすく表現することが可能になります。

ここでは例として、以前の授業の課題のsangyo.xlsのデータを使ってグラフを作る方法を説明します。データがない人は、http://www.edu.i.hosei.ac.jp/~sigesada/にデータファイルを置きましたのでsangyo.xlsのリンクからダウンロードして下さい。

表計算のデータをグラフにするには以下の手順を行います。

1.         グラフウィザードボタンを押して作業を開始する。

2.         「グラフの種類」のパネルで作成するグラフの種類を設定する。

3.         「グラフの元データ」のパネルで表のどの部分をグラフにするかを設定する。

4.         「グラフオプション」のパネルでグラフに表示する文字などを設定する。

5.         「グラフの作成場所」のパネルでグラフをどこに作成するかを設定する。

それではそれぞれの手順を具体的に例を挙げながら説明します。

·          グラフの作成開始

標準ツールバーの「グラフウィザード」ボタンを押すか、メニューの「挿入」→「グラフ」実行するとグラフの作成を開始します。この作業を行う前に、グラフ化したい部分のデータを選択状態にしておくと後の作業の手間が省けます。それでは、sangyo.xlsの表のデータのうち、各年の産業別の人口を折れ線グラフで表示してみましょう。データが入力されているA1:C11を選択状態にしてグラフウィザードボタンを押して下さい。なお、第三次産業の部分は後でグラフに追加するので今は範囲に入れないで下さい。

·          グラフの種類の設定

エクセルが描くことのできるグラフの種類の一覧が表示された「グラフの種類」というパネルが表示されるので、描画するグラフの種類を選択します。折れ線グラフを描くには一覧の中から「折れ線」と書かれた部分を押してください。右に様々な種類の折れ線グラフの形式が表示されるので、一番左上をクリックして選択して下さい。この時、下にある「サンプルを表示する」というボタンを押すと、ボタンを押している間、完成したグラフが大体どのようなグラフになるかが表示されるので参考にして下さい。設定が完了したら「次へ」というボタンをクリックして下さい。

·          グラフ化するデータの設定

次に「グラフの元データ」というパネルが表示されます。パネル上部には、完成したグラフがどのようなグラフになるかが表示されます。このパネルは「データの範囲」と「系列」の2つの設定を行うことができます(上部のボタンで表示を切り替えます)。

「データの範囲」では、パネルの下の部分を使ってグラフ化するデータの範囲を指定することができます。今回の例ではあらかじめグラフ化する部分を選択状態にしてからグラフ化の作業をはじめたのでパネルの下のデータ範囲と書かれた部分にはすでにグラフ化するデータの範囲が入力されています。もし範囲を選択せずにグラフ化の作業を行った場合や、範囲を後から変更したい場合は、選択したい範囲を表の上でドラッグして範囲を新しく設定することが可能です。系列とはグラフの中で関連する一連のデータのことです。例えば折れ線グラフの場合、折れ線で繋がれた一連のデータが系列です。パネル内の系列の右のボタンで系列のデータを縦方向の列のデータにするか、横方向の行のデータにするかを設定します。例えば「列」の部分を選択すると、それぞれの列のデータが「第一次産業」と「第二次産業」の折れ線のデータとして使用されます。

「系列」では、グラフの系列の名前の変更、新しい系列の追加、系列の削除、項目軸ラベルの変更などを行うことが出来ます。パネルの左の系列と書かれた部分にグラフに表示されている系列の名前の一覧が表示され、その右の部分に系列の名前と系列のデータが格納されているセルの場所が記述されます。系列の名前やデータの範囲の部分には表のセルと同様に、数値、文字、式などのデータを記述することができます。

新しい系列を追加したり、すでにある系列を削除するには、「追加」と「削除」ボタンを使用します。ここでは系列を削除する例を挙げることにします。グラフのサンプルの部分を見ると、グラフの中にA1:A11の部分のデータが混じっていることがわかります。本当はこの部分はグラフの横軸の値になって欲しいのですが、A2:A11の内容が数字であったためにエクセルが折れ線のデータであると勘違いしてグラフ化してしまったためこうなっています。(注:選択した一番左の列のデータが文字データであった場合は、その部分はグラフの横軸の値として使われます)。この系列を削除するには「系列」の下の一覧の中から余分な「就業者数」を選択し、「削除」ボタンを押してください。

項目軸ラベルは、グラフの横軸の下に表示する項目を設定する部分です。サンプルグラフを見ると横軸の目盛りが1,2,3...10になっていますが、横軸は年を表しているのでこれをA2:A11の内容、すなわち19501955...1995に直す必要があります。これを行うには、パネルの下段にある「項目軸ラベルに使用」の中でクリックし、表のA2:A11の部分をドラッグして下さい。

「元のデータ」のパネルの設定が完了したら「次へ」ボタンをクリックして下さい。

·          グラフオプションの設定

「グラフオプション」のパネルはグラフの様々な修飾を設定するためのパネルです。上部の「タイトルとラベル」、「軸」などのボタンで設定内容を変更することができます。

Ø        タイトルとラベル

¨         グラフタイトル
グラフのタイトルを設定します。この例では「就業者数」として下さい。

¨         X/項目軸
グラフのX軸(横軸)の名前を設定します。ここでは「年」として下さい。

¨         Y/項目軸
グラフのY軸(縦軸)の名前を設定します。ここでは「人数」として下さい。

Ø       

¨         X/項目軸
グラフのX軸の項目を表示するかどうかを設定します。
その下の部分は普段は「自動」でかまいません。

¨         Y/項目軸
グラフのY軸の項目を表示するかどうかを設定します。

Ø        目盛り線

¨         X/項目軸
グラフのX軸の目盛りの線を表示するかどうかを設定します。
補助目盛線は、目盛線よりも細かい目盛線のことです。

¨         Y/項目軸
グラフのY軸の目盛りの線を表示するかどうかを設定します。

Ø         凡例
 凡例は、グラフの系列の名前を別に表示するかどうかを設定します。また、表示する場合、「位置」の部分でグラフのどこに表示するかを設定することができます。

Ø         データラベル
 データラベルは、グラフの折れ線の各点にデータの値を表示するかどうかを設定します。実際に設定してみればわかると思いますが、データラベルを表示するとグラフがごちゃごちゃしてしまうので特に必要な場合以外は設定しないほうが無難でしょう。

Ø         データテーブル
 グラフの下に具体的な数字を表で表示するかどうかの設定を行うことができます。

·          グラフの作成場所の設定

最後に作成するグラフをどこに作成するかを決めるためのパネルが表示されます。「新しいシート」を選択すると、新しいシートが作られその中にグラフが作られます。「オブジェクト」を選択するとグラフのデータが存在するシートにグラフが「オブジェクト」と呼ばれる形で作成され、ドラッグ操作で移動、変形することが可能です。

3.      グラフの修正

 作成したグラフは後から自由に修正することが出来ます。

·          表のデータの修正

表のデータを修正するとグラフの内容が即座に変更した値に変更されます。

·          グラフツールバーによる修正

グラフをクリックして選択すると、グラフツールバーが画面に表示され、これを使ってグラフの修飾などを変更することが出来ます。

Ø         グラフオブジェクトボタンによる変更

 グラフツールバーの左にはグラフオブジェクトと呼ばれる部分があり、ここにグラフを構成するパーツの名前が表示されます。グラフオブジェクトの▼の部分をクリックするとグラフを構成するパーツの名前の一覧が表示されます。一覧からグラフオブジェクトを選択すると、選択したパーツが画面上で枠で囲まれ選択状態になります。パーツを順番に選択し、それぞれのパーツがグラフのどの部分を表しているか各自調べてみて下さい。なお、パーツを選択状態にするには、グラフオブジェクトのメニューで選択する以外にも直接パーツの上でマウスをクリックするという方法があります。
 選択状態にしたグラフのパーツは、マウスでドラッグすることにより位置を移動することが出来ます。また、四隅に表示される■記号の上でマウスをドラッグすることでパーツのサイズを変更することが出来ます。この時、グラフの系列のデータを変更すると対応する表のセルの内容も変更される点に注意して下さい。(注:パーツの種類によっては移動やサイズの変更が出来ないものもあります)

Ø         書式設定

グラフオブジェクトの右にある「○○の書式設定」ボタン(○○には現在選択されているパーツの名前が入ります)を押すことで選択されているパーツの細かい設定を行うことができます。例えば、グラフエリア(グラフ全体が収まるエリアのこと)を選択してからこのボタンを押すことでグラフエリアの書式設定を行うことが出来ます。この場合、「パターン」の「輪郭」でエリアの枠を、「領域」でエリアの背景色を変更することが出来ます。また、「フォント」によって文字のフォントを変更することが出来ます。

Ø         グラフの種類

「グラフの種類」ボタンの右の「▼」ボタンを押すとグラフの種類の一覧が表示されます。一覧から選択することで、グラフの種類を変更することができます。

Ø         その他のボタン

「凡例」、「データテーブル」ボタンは、凡例やデータテーブルの表示の有無を変更するボタンです。「系列を行方向に定義」、「系列を列方向に定義」ボタンはグラフの系列を表のどちらの方向で定義するかを変更します。「左45度回転」、「右45度回転」ボタンは文字のパーツを回転させるボタンです。

·           データの追加

グラフに新しくデータを追加するには、メニューの「グラフ」→「データの追加」を指定します。追加したいデータのセルを指定するパネルが表示されるので、ドラッグ操作によって選択して指定します。例えば先ほどのグラフに第三次産業の系列データを追加するには、D1:D11の範囲を選択して下さい。この時、選択した範囲の先頭のセルが文字であった場合はそれが系列の名前に使用されます。この場合D1の部分を含めることで、グラフの凡例に「第三次産業」という名前が自動的につけられます。

·           グラフの形状の変更

グラフの線の色や形状を変更するには、変更したい系列をクリックするか、「グラフツールバー」の「グラフオブジェクト」で変更する系列を選択状態にします。次に「グラフツールバー書式設定」ボタンを押すと変更するためのパネルが表示されます、例えば折れ線グラフの線を変更したければ「パターン」の「線」の部分の「指定」と書かれた部分を選択し、「スタイル」や「色」や「太さ」を変更すると線の形状が変更されます。他にも様々な設定を行うことができるので各自試してみて下さい。

·           系列データの変更

 グラフの系列データの範囲の変更、系列の名前の変更、系列の削除などを行うには、メニューの「グラフ」→「元のデータ」を実行します。グラフの作成時に使った「元のデータ」パネルが表示されるのでそれを使って変更を行って下さい。例えば系列名を変更するには「系列」を選択し、名前の部分に新しい名前を入力します。

·           その他の変更

 「グラフ」メニューの「グラフの種類」、「元のデータ」、「グラフオプション」、「場所」を実行するとそれぞれグラフを作成するときに使ったパネルが表示されます。このパネルを操作することで、グラフの設定を後から変更することが出来ます。

4.      Wordへの貼り付け

 エクセルで作成した表やグラフをワードに貼り付けることができます。

·           ワークシートの貼り付け

エクセルの表をワードに貼り付けるにはいくつかの方法があります。

Ø         通常のカットアンドペースト

エクセルで貼り付けたい表の部分をカットアンドペースト操作でクリップボードにコピーし、ワード上で貼り付け操作を行います。この場合、ワード上にはワードの表の形でデータが貼り付けられるので、貼り付けた後の表は計算能力を失います

例えば先ほどの就業者数の表でA1:F11をコピーしてワード上に貼り付けて下さい。表のデータがワードにコピーされますが、この表は計算能力を失っているので表の中の数字を変更しても合計や成長率の値は変化しません。

 

Ø         エクセルの表としての貼り付け

クリップボードへのコピー方法は同じですが、貼り付ける際にメニューの「編集」→「形式を選択して貼り付け」の操作を行います。すると、パネルが表示されるので、「Microsoft Excel ワークシートオブジェクト」を選択してからOKボタンを押してください。この場合は、ワードにはエクセルの計算能力を残したまま表が貼り付けられます。貼り付けられた表の部分をダブルクリックするとエクセルの表と同じ形式で表が表示され、メニューやツールバーもエクセルのものに変化し、エクセルと同じ方法で編集や計算を行うことができます。この方法で表を貼り付けた場合、元のエクセルのデータと貼り付けたデータは完全に独立しています。従って元のエクセルのデータを変更してもワードに貼り付けた表は変化しません。

Ø         リンクとして貼り付け

上記とほぼ同じですが、貼り付けの際にパネルの左の「リンク貼り付け」のボタンをクリックして選択してからOKボタンを押してください。この場合、ワードに貼り付けられたデータは、元のエクセルのファイルの内容を常に反映します。従って、元のエクセルファイルのセルの内容を変化させると、貼り付けたワードの表の内容も変化することになります。また、貼り付けた部分をクリックすると貼り付けた元のエクセルのウィンドウが開きそちらで編集操作を行うことになります。

·           グラフの貼り付け

グラフを貼り付ける場合も表を貼り付ける場合と同様です。貼り付けたグラフはワード上で自由に移動、変形することができます。また、貼り付け時に「リンクとして貼り付け」を設定することで、元のエクセルのグラフを変更するとワードに貼り付けたグラフの内容が変化するようなグラフを貼り付けることができます。

·           ワード以外のアプリケーションへの貼り付け

ワード以外のアプリケーションにも同様にエクセルで作成した表やグラフを貼り付けることができますが、その場合はいくつか制限がある場合があります。MS社のOffice系のソフト(WordPowerPointなど)はワードと同様ですがそれ以外のアプリケーションには「リンクとして貼り付ける」などの操作を行えない場合があります。

5.      課題

 sangyo.xlsを使って以下の3つのグラフを作成して下さい。作成したグラフをワードに貼り付け保存し、G:ドライブに保存し課題のメールに添付して送って下さい。

ヒント:

1.         グラフの範囲はA1:D11、グラフの種類は「面」の「積み上げ面」

2.         グラフの範囲はB14:D14、グラフの種類は「円」の「円」
系列名の設定は「項目軸ラベル」でB1:D1を指定すればよい。

3.         グラフの範囲はB14:D23、グラフの種類は「縦棒」の「集合縦棒」
項目軸の年の部分を図のように変更するには「項目軸」を選択し、グラフツールバーのボタンを使って文字を回転させればよい。
割合の部分の目盛りの間隔の部分を図のように変更するには、「軸」を選択し、「軸の書式設定」パネルの「目盛り」の「目盛り間隔」を0.2に変更すれば良い。

出席、課題のメールは ta04k007@edu.i.hosei.ac.jp までお願いします。

質問のメールなどは、 sigesada@edu.i.hosei.ac.jp までお願いします。

授業の資料の最新版は http://www.edu.i.hosei.ac.jp/~sigesada/ にあります。