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- 2005年12月22日 第12回資料
- 担当 重定 如彦
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- 成績の評価は、期末試験重視(1月26日3限に実施予定。詳細は来年の最後の授業で説明します)で行う予定ですが、それだけだと一発勝負になってしまうので、レポート課題を出します
レポートの内容は以下の通りです
「今回の授業までで解説した様々なデジタル情報学に関する テーマの中から一つ興味を持ったものを選び、そのテーマ関して、以下の点をレポートにまとめ提出すること」
- そのテーマの簡単な解説と現状
- そのテーマが現在抱えている問題点
- そのテーマの今後の展望
- そのテーマに関するまとめと感想
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- レポート作成に関する注意点
- 資料の丸写しはしないこと
資料を参考にするのは大いに結構ですが、書かれている内容を丸写しにはせず、なるべく自分の言葉で整理すること。また不正は大きな減点の対象とします
- 参考にした資料を最後に参考文献として一覧で明記すること
本の場合は書籍名、著者名を、ウェブの場合はページのタイトルとURLを書くこと
- 締め切りと提出方法
締め切りは来年の授業までです。来年の授業内で提出してください
記述は手書き、ワープロ(印刷すること)のどちらでもかまいません。
いずれの場合も必ず表紙を作り、「デジタル情報学概論レポート テーマ ○○」、名前、学年、学生証番号を書いてください
- 分量について
レポートの分量は表紙を除いて2ページ以上書いてください
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- デジタル画像編集(CG:Computer Graphics)
デジタル化された画像データは、コンピュータで自由に複製や合成を行うことができる
- 2つの異なる画像を組み合わせる(画像の合成)
- さまざまな特殊効果を画像に施すことが可能(フィルタ機能)
色調の補正、回転、拡大、縮小、モザイク、ゆらめきなど
- これらは、画像編集ソフトを使えば容易に行うことが可能
- 多彩な画像を組み合わせて新たにコラージュ的に作品を制作することもできる
- なお、画像をデジタル化するには以下の2点が重要
- ピクセル分割
画像データの点の細かさ(解像度)をどのようにするか
- 色階調
表現できる色の細かさ。約1600万色を表現可能な24〜32ビットカラー画像が良く使われる
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- ノンリニア動画編集
以前は、動画はフィルムなどに保存され、動画を編集するにはフィルムの編集作業が 必要であった。これに対し、動画のデータをデジタルデータに変換し、コンピュータに 入力してから編集する方法のことをノンリニア動画編集と呼ぶ
- ワープロ感覚で編集可能
映像をワープロでの文章編集のように、自由な順番で編集し、いつでも簡単に修正する
ことが可能になった
- 音やテロップの編集が容易
コンピュータでは、静止画も動画も音声も同じように扱うことができるので、動画編集ソフトを
使うことによって、音楽にあわせてカット割りをしたり、テロップを入れるなどの編集作業が
容易にできるようになった
- これまで高価なビデオ編集機材を使わなければできなかったことがソフトの機能で 実現できるようになり、映像表現の幅が大きく広がってきている
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- 3次元CG (3D-CG)
以前はCGの作成には大変なマンパワーと費用が必要であり、「金食い虫」、「人食い虫」と呼ばれていたが、現在ではコンピュータの高性能化と、3D−CGソフトウェアの高機能化により、急速に3D-CGの作成の敷居が低くなっており、現在ではむしろコスト削減のためにCGを使うというといった使い方がされている
- 3D-CGはコンピュータ内に仮想的に3次元空間を作成し、その中に仮想の立体物やカメラ、 ライトを配置し、それらをある方向から見たときにどう見えるかを計算することで作成される
- 立体物、カメラ、ライトなどは仮想のものであるため、現実では不可能なアングルからみた物体のCGの作成などが可能であり、表現の自由度が高まるという利点がある
- 3D-CGを使って作成した作品はCGアニメーションとも呼ばれ、映画、CMなどで使用される
- CGアニメーションは映画の他にも、ゲーム、製造業、建築業など様々な分野で使用されている
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- 3次元CGの作成工程 その1
3D-CGは一般に以下の4つの工程で作成される
- モデリング
3次元の形状をコンピュータ内に作成すること。CGアニメーションのようにクオリティが重要な ものは、物体の表面を曲面にするがその分CG作成に必要な計算量が多くなってしまう
一方、ゲームなどのようにリアルタイムで3D-CGを表示する場合はCG作成に必要な計算量が少なくてすむポリゴン(多角形)を張り合わせて物体の表面を構成する。ゲームなどのキャラクターの3DCGの表面が良く見ると角ばってみえるのはそのためである
- マッピング
モデリングで作成した物体の表面に2次元の画像を貼り付ける作業のこと
CGアニメーションの場合は、クオリティを重視し、精密な画像を多重に張り込んだりするが、 リアルタイム系のCGの場合は、処理を軽くするために粗めの画像を使うことが多い
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- 3次元CGの作成工程 その2
- アニメーション
モデルやカメラ、照明に対して動きを付けることで、アニメーションを行わせる
一般的にはキーフレーム法と呼ばれる方法で、動きのポイントとなるフレーム位置(動画の一コマ)に手動で動き(モデルやカメラの位置を設定する)をつけていく
リアルなアニメーションを行う技法の一つに人間の関節の動きを計測し、そのデータを元に人間の形をした物体を動かすというモーションキャプチャー技術がある
- レンダリング
モデリング、マッピング、アニメーションなどの作業でつくられた物体のデータをコンピュータを使って計算を行うことでデジタル動画データに変換する作業のこと。物体に影をつけるシェーディングなどもレンダリング作業の一種である
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- セルアニメーションと3D-CGの融合
従来のアニメーション製作において使われてきたセル画(アニメーションに使う背景、 物などを透明なセルに描き、それらを重ね合わせることでアニメーションを作成する)を、3D-CGの技術を使ってレンダリングすることができるようになっている。現在では多くの アニメーションがセル画ではなくCG技術を使って作成されるようになってきている
- XMLとX3D
仮想世界を記述する言語であるVRML(Virtual Reality Markup Language)の世界にもXMLが影響を与えており、XMLの形式で仮想世界を表現するX3Dという言語が作成されている。X3Dの特徴には、拡張性があること、XML形式で表現されること、VRMLの既知の問題を改善することが可能であることなどが挙げられる
X3Dの詳細ついては http://web3d.org/ を参照のこと
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- CGシネマ
近年、全編すべてを3D-CGで作成したフルCG映画やTVシリーズが製作されている
- 特殊効果のCG化
従来は、人形や模型を使った特殊撮影があったが、近年ではそれらが3D-CGを用いた特殊撮影に置き換わっている。従来の特殊撮影では予算の問題や、危険性の問題から撮影できなかったような映像も可能になった。また現実には撮影不可能なものも、登場人物とCGで作られた背景と合成することで可能になった
- 登場人物のCG化
背景だけでなく、登場人物や動物も3D-CGで作成し、実写と合成する映像も可能に。動きをリアルにするために、モーションキャプチャやロトスコーピング(人間の動きを実際に人間を撮影した動画からトレースして取り出す技法)などの技術が用いられている
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- 高品質・低コストのデジタルシネマ
撮影、編集、配給(衛星回線などによるデジタル配信)、上映、DVD化までフル
デジタルのデジタルシネマ(Eシネマ)の時代を迎えようとしている
- 高画質な映像の作成
デジタルビデオカメラの性能向上により、フィルムに匹敵する映像を誰でも作成可能に
- 特殊効果の作成
コンピュータ処理を行うことで簡単に特殊効果つきの画像を作成したり、合成したりする
ことができるようになった
- 制作期間、コストの低減
制作期間を短くし、制作費や映画館への配給費用を削減することが可能
- 映画史において、トーキー(音声付き映画)、カラー化をしのぐ大変革であるともいえる
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- 製作者側から見たデジタルシネマの利点
- 品質が一貫して維持できる
フィルムの映画の場合は、複製プリントの品質がロットごとに変化するため、一貫した品質を維持することが困難であった
- 全世界同時封切りが可能に
デジタルシネマは通信衛星などを使って世界各地に同時に配信することが可能なため、フィルムでは困難だった世界中での同時に封切りが可能になった
- 低配給コスト
デジタルデータはコピー、配信が容易なので、フィルムの複製、配給にかかっていた費用を大幅に削減することができる
- 安定性・海賊版の防止
暗号化、電子透かしなどの技術を使うことで、海賊版の防止などを行うことができる
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- 興行者側から見たデジタルシネマの利点
- 音・映像品質がいつまでも安定で信頼できる
- 上映スケジュールが柔軟に組め、上映回数を増やせる
フィルムの映画の場合必要であったフィルムの巻き戻しが必要ない
- 劇場でのアセンブリコストの低減
アセンブリコストとは、機械の組み立てに必要なコストのこと
- 多言語・タイトル提供への対応が容易
- 予告編・プロモーションの編集が容易
- 宣伝プロモーションに柔軟性
宣伝売り上げの上昇に結びつく
- 営業効率が良い
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- 観客側から見たデジタルシネマの利点
- いつみても封切り初日の映像品質が楽しめる
フィルムの映画は、繰り返して上映を行うとフィルムが劣化する
- 高映像品質
フィルムの映画にはつきものである、ゴミ、スクラッチ、焼けた孔、色あせ、ジャンプ、波うち、トラベルゴースト、焦点ボケ、ジャダなどがない
- スポーツ、コンサートなどの実況が映画品質で見られる
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- デジタルマップ
地球上の位置を示す地図は、人間にとってもっとも基本的なものであり、
地図とまったく無縁の個人も事業も存在しない
電子地図(デジタルマップ)の特徴には以下のようなものが挙げられる
- 編集・加工が容易
- 必要な地図をすぐに引き出せる検索機能を持つ
- ネットワークを介せば共有が可能
- 地図情報をさまざまなデータベースと組み合わせることができる
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- GIS
デジタルマップを各種のデータベースと組み合わせることにより、地図画面上にさまざまな情報を表示する統合的なシステムを実現することが可能。このようなシステムを地理理情報システム(GIS:Geographical
Information System)と呼ぶ
GISには、各種の情報を柔軟かつ混乱なく表示できるようにレイヤ(layer、層)を持つ
レイヤが持つ情報の例としては、たとえばガソリンスタンドのレイヤ、飲食店のレイヤなど様々なものが考えられ、電子地図に必要なレイヤの情報だけを重ね合わせて表示
することで、地図上に必要な情報のみを表示することができるようになる
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- ラスタ地図とベクタ地図
デジタル地図には、ラスタ地図とベクタ地図と呼ばれる2種類が存在する
実際に運用されているGISのシステムではベクタ地図を利用するものが多い
- ラスタ地図
特徴:空間を細分化し、点の集合で地図をデジタル化する(デジタル画像と同様の方法)
利点:データの構造が単純なため、地図の加工も容易
欠点:データ量が膨大、拡大表示するとエイリアス(階段状のひずみ)が生じてしまう
- ベクタ地図
特徴:位置座標と線分のデータの集合で地図を表す
利点:それぞれの対象物が独立しているので、対象物に属性をもたせることが可能
例:一軒一軒の家屋をポリゴン(多角形)で表し、居住社名、事業者名などの情報を属性として保存
欠点:作成に多大の労力が必要、編集・加工に専用のプログラムが必要
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- レイヤ構造
デジタル地図は、地図が持つ情報を、情報の種類毎に多くのレイヤに分けて保存する
それぞれのレイヤには属性があり、どのような条件で表示・非表示を切り替えるかの
設定が行われているのが一般的である
例:表示する縮尺による属性の場合、
- どのような縮尺でも表示するレイヤ:主要道路、主要施設
- 拡大しないと表示されないレイヤ:細い道、一般施設
- 地図の連続
ベクタ地図は地図情報を対象物の座標で保存しているため、縮尺の概念はなく、拡大・縮小の操作が可能である。縮尺率のかわりに表示倍率と精度があるといっても良い
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- メッシュ地図
地図上のさまざまな数値情報を表示する方法としてメッシュによる方法が利用されている
メッシュとは、地図を特定の大きさの正方形で区切り、それぞれのメッシュに色や棒グラフなどその場所に関する様々な情報を表示する
例:全国の降水量を表す電子地図
メッシュ地図は、正方形の大きさによって
1次、2次、3次メッシュの3種類がある
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- 数値地図の所在と種類
電子地図を生み出す元となるデータは、数値地図と呼ばれ、国土地理院が日本地図センターを通じて販売をおこなっている。数値地図は、一般的な地図、メッシュ地図、地図画像の3種類に分類できる。たとえばメッシュ系の数値地図のうち、「数値地図50mメッシュ」は約50m四方で測った標高データが格納されており、このデータをコンピュータ処理によって丘陵地などの様子を立体的なCGで眺めることが可能になる
- 空間データ基盤
数値地図2500という数値地図は、地方公共団体が作成している2500分の1の都市計画基図を原資料としており、市街地の基本的な構成要素である道路、建物、 水面などが網羅されているため、空間データ基盤とも呼ばれている
詳しい内容は教科書の99Pの表を参照のこと
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- GISの重ね合わせの概念と利用分野
必要な情報が盛り込まれた電子地図を作成するには、いくつかの例や情報を重ね合わせるという方法で作成する。例えば、災害対策のための電子地図は、「航空写真画像」、「防災施設の分布状態」、「老朽家屋の分布情報」、「基礎的な道路、建物」のレイヤを重ね合わせて作ることができる
GISの適用分野には、行政、防衛、医療、教育、農業・漁業、電力、ガス、運輸、通信、不動産建設、製造、小売業、卸売業、金融、保険、証券、サービス業など多岐にわたっており、地球上における人間の営みのすべてを、地図の応用分野として包含することができるものといっても過言ではない
- 参考:デジタルマップについてはGoogle Earthを参考にすると良いでしょう
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